約 1,893,898 件
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/5558.html
前ページゼロの独立愚連隊 レコン・キスタの旗艦、レキシントン号。その客室で一人の男が脳髄を砕かんばかりの苦痛にあえいでいた。 「ぐぁ……おのれ、ジョゼフ……最期にこんな足掻きを……ぬがあっ」 (何なのだ、これは……ジョゼフめ、大人しく死んでいればいいものを、最期にこんな悪あがきをするか! これだから魔法という奴は……) 男は、メイジの使い魔だった。だった、と過去形である理由は単純である。今まさに彼の主人であったメイジが死んだはずなのだから、だ。先ほどまで男が見ていた窓の外の風景、かすかにしか見えないはずのガリア王国の王都リュティス。しかし、今はその場所を空からでも知らせる巨大な目印がもうもうと立ち上っていた。 炎のドームとでもいうべき物が、膨大な熱量により建造物も人も、大地すら蒸発、爆発させながらその破壊は広がり、リュティスをも飲み込んでいるのだ。これにより、あのカウンターとやらを使うエルフに護られた彼の主も死んだ、そのはずだ。だというのに―――― 「ぐおおおっ、ぬおっ、はあっはあっ……かはっ……これは、感覚の共有というう奴か、ぬあああっ!」 男の額に描かれた文字、使い魔のルーン。それが激しく明滅している。それと同期するように男の頭の中に膨大な情報が流れ込み、激しい苦痛を与えているのだ。 (なんだ、この光景は? ヴェルサルテイル宮殿……にしては形が違う。この目の前の男は何だ? シャルル? 誰だそれは、何だこれは?!) ベッドから転がり落ち、木の床の上で悶えながら割れんばかりの苦痛を発する頭を両手で締め上げる。少しでも内からの苦痛が減るようにと。しかし、それでも苦痛は止まない。彼の知らぬ光景が、知らぬ顔が、知らぬ名が、脳髄を侵略していた。 「兄さん」 「おめでとう兄さん、可愛い女の子だね。君も兄さんのように立派な人になるんだよ?」 「兄さん! 生まれたんだ、女の子だ! シャルロットって名前にしようと思うんだけどどうかなぁ?」 「兄さん」「兄さん」「兄さん」 (何だこの光景は、この記憶は! 俺を洗脳するつもりか!? ふざけるな、俺は、俺は、ヒデオ・モリだ……!) 心の中の絶叫。 だが、それでも脳を侵食する感覚を超えた記憶の共有――いや、侵食というべきか――を押し留めることは出来なかった。それを最期の抵抗に彼の、ヒデオ・モリの意識は、途絶えた。 ヒデオ・モリ。 ジョゼフが召喚した、手枷をはめられたその男がジョゼフの腹心となるのに時間はかからなかった。彼の語る未知の世界の話に、そしてその技術に、ジョゼフは心を奪われてしまったのだ。やがてジョゼフはモリに幾人かのメイジを預けてその成果を示すよう命令し、そしてモリの見せた期待以上の新たな世界にジョゼフは狂喜した。 初め、ジョゼフの気を惹いた切っ掛けは宇宙の話だった。 召喚されて10日、土メイジに作らせた蒸気機関で車輪を回した。 召喚されて1ヵ月後、内燃機関を備えた装甲船が竣工した。 そして2ヵ月後、彼の作った木と鉄でできた怪鳥が、魔法も風石も無しに空を飛んだ。 「現状ではこの程度でしょうな、ジョゼフ王。これは最初に捕らえた風任せで舵の聞かない出来損ないですが、後は実験を重ねて改良を続ければ実用に耐える物が完成します」 そしてジョゼフはモリをさらに重用し、望む人材があれば提供し、望む材料があれば準備させた。さらにはモリに己の腹心としての立場と任務を与え、各所で暗躍させるようになった。 ――その結果、致命的な物を与えてしまったのだ。 4ヵ月後、ジョゼフはモリが捜し求めていた「発掘物」をモリに見せた。 「…………素晴らしい。起動は出来ないが、この程度の状態であればまだ動く部品を取り出せるだろう。感謝いたします、ジョゼフ王。これでさらに面白い物をお見せすることが出来ます」 「そうか、そうか! 楽しみにしていよう。いや、これまでで一番楽しみだ!これが動くのが見られないのは残念だが、次があると思えばいいことだ。期待しておこう」 「はっ」 忠臣のごとく応えながらも、しかし跪いて頭を伏せるその顔の上に禍々しい笑みを浮かべてモリは時が来たことを確信していた。これさえあれば、忌まわしい使い魔という鎖を断ち切り、彼がジョゼフに成り代わり世界を操る立場に立つ、その道筋が立ったのだ。 モリが調べていた物、それは各所を失った人型の残骸だった。右の腕が半ばからちぎれ、両の脚は骨のようにも見える中身を晒すほどボロボロ、そして頭と思われる部分が胴体にめり込むように潰されたその姿は、残骸というより死骸と言うべきだろう。だが、それでもその姿には威容があった。そして力も遺していたのだ。 DRG-1N『ドラゴン』、それがこの人型の名前だった。 そして、ジョゼフが召喚されてから8ヶ月。破壊の瞬間は唐突に訪れた。 モリがジョゼフの命令でアルビオンへと渡った数日後。完成直前でモリの最後の仕上げを待つばかりと言われていた『龍の心臓』が、突如その力を解き放ったのだ。 モリが以前作らせた蒸気機関、内燃機関を遥かに凌駕する力を持つと説明されていたそれは、確かに言葉通りの力を発揮するものだった。ヴェルサルテイル宮殿の一角に作られたモリの地下実験場、そこで『龍の心臓』――メックのエンジンを流用した純粋水爆が爆発したのだ。 放射線が、熱が、実験場の壁だけでなく地表を、そして宮殿、さらにはリュティスの街並みすらを飲み込み溶かし蒸発させる。衝撃と爆発が土砂を舞い上げ建造物を積み木を崩すようになぎ倒し、そして粉々に吹き飛ばしてゆく。空は舞い上げられた粉塵で汚れ、やがてそれらは雨と共に大地へと還らんと黒い雨を降らせたのだった。 繁栄を誇っていたガリア王国の王都リュティスは、ガリア王ジョゼフの命と共に死に絶えた。 そしてモリはそのままレコン・キスタを支配し、乗っ取り己の国を築く。それがモリの描いていた絵図だった。 「ああっ、お目覚めになられましたか!」 「……?」 突然上からかけられた言葉に、まどろんでいた意識が覚醒を始める。ジョゼフは自分が今ベッドの上に寝かされていたことに気づき、体を起こしながらぼんやりと傍らに目をやる。そこには銀盆を手にした見慣れないメイドが、安堵の表情を浮かべて絞ったタオルを差し出している。いや、何度か見たことはあったか、覚醒を始めた意識でそう思い返しながらタオルを受け取り、強めに顔を拭う。……どうも口周りの感触がおかしい、そんな違和感を感じるが、とりあえずそのままタオルを返しながら今の状況への疑問を口にする。 「ふむ……眠った覚えがないのだが、俺はどうしてここにいるのだ?」 「はあ、それが部屋の中で意識を失われていたのですが……心当たりは御座いませんか? 私どもで看病させて頂いていたのですが、乗船されたその日に倒れられてもう4日目になりますし、どこか具合の悪いところがありましたらおっしゃって下さい。ああ、そうですわ、食事の用意をしませんと。それとお目覚めになられたことを報告してまいります!」 そういってメイドは一礼すると駆け足気味に部屋を出て行くが、ジョゼフはメイドの言葉に更なる違和感を覚えていた。乗船、と今このメイドは口にしたのだ。 (どういうことだ? 俺は確か……) ようやく回りだした頭でジョゼフは目覚める前のことを思い返す。 玉座で頬杖を付く。 文官の報告。 突然の地響き。 ビダーシャルの叫び。 ジョゼフとビダーシャルの周囲を残して崩れ、吹き飛ぶ宮殿。 崩れる足場。 悲鳴を上げるビダーシャル。 ――そして、一瞬で全てが閃光のような炎に塗りつぶされた。 気を失う前の僅かな記憶。あれは一体なんだったのか? ――『龍の心臓』の爆発。 突然ジョゼフの頭の中に、閃くように答えが浮かぶが、その答えの意味が分らない。『龍の心臓』とはジョゼフがモリに復元させていた、あの残骸の部品の名前だ。何故、それが爆発するのだ? そう思ったジョゼフの脳裏に、再び答えが閃くように浮かぶ。 ――『龍の心臓』という名前は、バトルメックDRN-1N「ドラゴン」のエ ンジンを流用したことから付けた物。兵器としての分類は純粋水爆。 頭の中に閃くように浮かぶ、いや思い出される記憶にジョゼフは首を傾げる。何故、俺はこんなことを知っている。そもそも、龍の心臓が純粋水爆という物だと分っても、今度はその純粋水爆が何だか分らない。と思うと、再び純粋水爆が何か、ということが頭に浮かぶ。 「何だ、これは……俺は一体どうしたのだ?」 先ほどまでの違和感、そして突然脳裏に浮かぶこの奇妙な知識。ジョゼフは顎に手を当てて首を傾げる。 顎に当てた右手、そこにあるべき感触が無い。 今度こそジョゼフの意識は覚醒した。がばり、とベッドから上体を起こすと、メイドが置いていったテーブルの上の水桶からタオルを放り出し、両手で掴みながら覗き込む。 そこに写っていた己の顔は、青い髭は無い。ただ黒く短い不精髭が僅かにはえているだけ。ぺたぺたと確かめるように顔を探る指の間に移るその顔、それは正しくジョゼフの使い魔であった、ヒデオ・モリの顔だった。 「は、ふは……ふはははははははは、そうか、そうかそうだったか! 俺は死んだのか。思い出した、思い出したぞ!」 ジョゼフ、と言うべきかモリと言うべきか。その男は両の手を広げて窓辺に歩み寄る。外の風景と共に写る、その黒髪の男の顔に爪を立てるように窓を掻きながらけたたましく笑い続ける。 「そうだ、そうだ! ジョゼフは死んだ、炎に焼かれて死んだ、城ごと、何もかもと一緒に焼き尽くされた! 知っている、俺はここから見ていた。水爆の爆発がリュティスごと俺を飲み込む様を俺はここから見ていた。俺は俺の危機に感覚の共有で俺の感覚を、俺の断末魔を知った! 最高のショウだ、勝利の瞬間だ! いい気分だ、頭が割れる程にいい気分だった! そうさ、俺が俺を殺したんだ!」 バリン、と両手が窓を突き破る。ガラス片が腕を裂き、血が流れる。モリ・ヒデオの血が流れる。 「違う! 俺は俺に殺された、俺に負けた! 俺の謀反の気を知りながら、俺の力はビダーシャルの先住に届かぬと読み誤った! だと言うのに、俺はここにいる! 俺は死んだのか、生きているのか、勝ったのか、負けたのか? どちらなのだ、どちらなのだ!?」 と、部屋のドアがノックされる。そしてその向こうから聞き覚えのある/無い声がかけられた。 「やあモリ殿、目が覚めたそうでなによりです。失礼して良いかね」 その問いかけに、ジョゼフは僅かに考えた後で答えた。 「人払いはしてあるのですか? このような醜態を晒してしまいましたが、それでもあまり私の姿を晒さぬほうが良いでしょう」 「ああもちろんだモリ殿。私としても貴殿の立場は理解している」 その言葉を聞いてジョゼフは部屋のドアを右手で開き、ドアの向こうにいた人物、クロムウェルを招きいれた。 「もう立ち上がれるのですな。いや、水メイジに治療させるべきか悩んだのですが……とりあえず人目に付きにくいよう平民のメイドに看病だけさせておったのですよ。何事も無く幸いでしたな」 クロムウェルの言葉を聞きながらジョゼフは後ろ手にドアを閉め、口元が笑みの形に吊り上がりそうになるのをこらえて窓を指差す。その動きにクロムウェルが吊られるように視線を動かし、割れた窓を見て視線を止めた。そして口を開こうとして、 パン、と乾いた音が響いた。 崩れ落ちるクロムウェルの体。左手に硝煙を昇らせる拳銃を持ったジョゼフ。口を三日月に吊り上げながら、ジョゼフは崩れ落ちたクロムウェルの体に近づいて様子を見る。 「か、はぁ……何が……ごふ……」 「ふむ、もう一撃いるか」 パン、ともう一度。今度は心臓の辺りに銃口を密着させての一撃。ビクリ、と体を震わせた後に脱力していくその姿を確認してジョゼフは頷いた。そしてジョゼフはクロムウェルの手から大きな宝石の付いた指輪を抜き取り、己の指に嵌める。 「さあクロムウェル。俺が俺を知るために、俺の感情を、俺自身を確かめるために……働いてもらうぞ、俺の心が成したいと思うこと全てを試すまで」 ジョゼフは奪った指輪、アンドバリの指輪をクロムウェルの死体にかざしながら、心底楽しそうに笑った。 前ページゼロの独立愚連隊
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/6486.html
前ページ次ページゴーストステップ・ゼロ ワルドの部屋に来ていたルイズは困惑していた、なにしろワルドが自分の事を褒めちぎるのである。 曰く、きっと素晴らしい才能をもっている。 曰く、魔法が爆発してしまうのは、きっとその才能が目覚めきれていないからだ。 曰く、その才能が目覚めれば、きっと始祖ブリミルに匹敵するほどのメイジになれるに違いない。 等々、そういった賛辞を情熱的な台詞に織り交ぜて語りかけてきたのだ。 確かに嬉しい、今まで自分の事をそこまで評価してくれる人はいなかったのだから。 今までの人生で、自分が家族以外の他人から得た評価は、常に低く、侮蔑と嘲笑が混じったものだった。 だからこそ、困惑する。 確かに、ヒューからも似たような事は言われた。しかし、それは彼がハルケギニアの常識を知らないが故に言えた事だろう。 だが、ワルドは違う。彼はこのハルケギニアで貴族として生きている、ならば何故この様に言いきれる? 一体、何を根拠にそこまでの事を言いきれるのか。 ゴーストステップ・ゼロ シーン15 “Night of la-losier” シーンカード:カゲ(死/これまで潜伏していた勢力が動き出す。刺客襲来。昇華。) もしかして、今日まで放っておいた罪滅ぼしや罪悪感から言っているのだろうか。いや、もしかしたら単にご機嫌取りの言葉かもしれない。 実際、可能性としてはそれが一番ありえそうな話だ。自分の実家であるヴァリエール公爵家は、ここトリステインでも有数の名家だ、誼を結ぶ事が出来れば貴族としての格も上がる。その上、この任務を無事にこなせば姫様からの覚えもめでたくなるだろう。 そこまで考えて、ルイズはふと引っかかりを感じた。 何かがおかしい、奇妙な感じ…というか不快感を覚える、何かが食い違っている様な、喉まで出かかっている言葉が出てこない…そんな感覚だ。 思考の海を漂うルイズだったが、ワルドが告げた言葉に無理矢理引き戻される。 「ルイズ、この任務が終わったら結婚しよう。」 ルイズは一瞬、息をする事も忘れていた。 ぽかんと、間抜けな顔のままワルドを見返す。 今、何を言われた?任務が終わったら結婚しようとか言わなかったか? ルイズの表情がゆっくりと変わっていく、間が抜けた表情から真剣な表情へ。そして瞳はワルドの目をしっかりと見据えている。 対するワルドはルイズの変化に驚き戸惑っていた。この部屋に招き入れた当初、彼はルイズを篭絡するため、自らの推測をある程度ぼかしながら会話を進めた。実際、宮廷にいる大概の貴族は、ここまで褒め称えれば自らの自尊心を満足させて、表情を緩めて油断する事を、彼は自らの経験上承知していたのだ。 しかし、目の前にいる少女は、自分が何か言う度に眉根を寄せて考え込んでしまった。 ワルドは困惑する、かなり長い間放っていたとはいえ、朝方から交わした会話の感触から見ても悪感情は持たれていないと確信していたのに、この部屋に招き入れて会話を交わし始めた時から何かが狂い始めたのだ。 何をもって彼女に警戒心を抱かせたのか、ワルドには全く分からなかった。 そんなワルドにルイズが言葉を返す、その言葉にはほんの少し棘が含まれていた。 「ワルド、いきなり何を言いだすの。」 「いきなりじゃないよ、ルイズ。僕はね、誰からも認められるような男になったら君を迎えに行こう、と常々思っていたんだ。」 「それは、ヴァリエール家に相応しくという意味かしら?」 ワルドは内心ほくそえんだ。なるほど、ルイズは「自分ではなく家の力を欲しているのでは」と思っていたのだろう。 しかし、とワルドは心の内で頭を振る。真実、自分は欲しているのだ、彼女の『虚無』を。 話はワルドがレコン・キスタに参加し、それなりの評価を受けるようになった頃に遡る。 その頃、ワルドはレコン・キスタの盟主であるオリヴァー・クロムウェルから、奇妙な指令を受けた。 その指令とは、“トリステインの貴族に魔法を使えない者がいる場合、その人物を監視せよ”というものだった。その時、彼の脳裏に浮かんだのは誰あろう、自分の名ばかりの婚約者であるルイズの事である。 確かに、指令の内容と見事に一致していた。しかし、ここでワルドは不審を覚える、何故この様な指令が出たのか…。 魔法が使えない以上、戦力になり得ないのは自明の理だ、ならばこの指令には何か裏があるのだろう。 戦力にならない存在を警戒する理由、それにはそれだけの理由があるはずだ。 そして、その“理由”は程なく理解できた、他ならぬレコン・キスタの蜂起によって。 彼等はこう宣言して立ち上がったのだ。 「始祖ブリミルの悲願を蔑ろにした王家に代わり、我等は始祖ブリミルの悲願を達成すべく立ち上がった。 もはや王家に始祖ブリミルの恩寵はあらず、我等が盟主オリヴァー・クロムウェルこそ、始祖ブリミルの恩寵を新たに享けた存在である。 そう、彼こそが始祖ブリミル以来、誰も扱い得なかった『虚無』の使い手なのだ。」 その宣言を聞いた時、ワルドはまるで雷をその身に受けたかのような衝撃を覚えた。 始祖のみが使えたと言われる、最強の系統『虚無』。それを手にするクロムウェルが何故、力を持たない者を恐れる? 否、彼は…クロムウェルは恐れていたのだ。自らと同じ者が『虚無』として覚醒してしまう事を。 それを確信した後、ワルドは始祖に関する情報をかき集めた。『虚無』とは何か、始祖はどのような行動をとったのか、それこそありとあらゆる情報を集め・調べ・検証した。殆どの情報は全く使えなかったが、いくつか確かな情報もあった。 “人、もしくは亜人が使い魔であった事。『虚無』の呪文は『系統』のそれと比して長い事。” 少ない情報だったが、使い魔に関しての情報は朗報だった。何しろトリステイン魔法学院では、2年の進級時に使い魔を召喚しなくてはならないのだ。この時、ルイズが人を召喚するようなら、ほぼ確実に『虚無』の使い手だろう。 もし、違っていてもルイズを娶れば、ヴァリエール公爵家に恩を売れる。レコン・キスタがトリステインを併呑するようなら切り捨てればいい。ワルドにとってみれば、なんとも都合が良い話だった。 そして、運命の日。ルイズはワルドが睨んだとおり、人を召喚し使い魔とする。何とも風変わりな男だったが、ワルドにとってみれば魔法を使えない平民など、気にする程のことでもなかった。 そうなると、ルイズとの間に出来た空白をいかにして埋めるかが思案の種だった。婚約者とはいえ所詮、双方の父親が酒の席で戯れに交わした口約束に過ぎない。ルイズの力をあの当初から知っていれば、何としてでも空白は作らなかっただろうが、流石に後の祭りというものだ。 年単位で放っておいた癖に、いきなり尋ねるわけにもいかず、どうしたものかと考えていると、ルイズとその使い魔の活躍が耳に入ってくる。 何と、召喚した男は風のスクエアだというのだ。その上、天下を騒がせていた盗賊“土くれ”のフーケから、盗品を奪い返したという話まで聞こえてきた。 ワルドは焦った、例の男は使い魔だから恋仲になるなどありえないだろうが、どのような事にもイレギュラーというものはありえる。ここはルイズの進級を名目に会いに行くべきか…等とゲルマニアからの帰還中に考えていると、レコン・キスタから、再び指示が舞い込んできた。王女とゲルマニア皇帝の婚姻に対する妨害工作である。 護衛をしながら王女を見ると、確かに何やら悩み事があるように見える。 そういえば王女とルイズが幼馴染だった事を思い出したワルドは、周囲に人がいなくなった頃を見計らってルイズに相談するよう持ちかけた、もちろん彼女に有能なメイジの使い魔がいる事を匂わせながら。 自分の提言にまんまと乗った王女は、予想通りルイズにウェールズ皇太子が持つ手紙の奪還を依頼した。 遍在を使って2人の話を盗み聞いていたワルドは、この展開に笑い出したくなった。丁度良い、この機会にルイズをレコン・キスタに誘おう、そうすれば組織内における自分の地位はより磐石なものになる。その上で手紙を奪い、皇太子を暗殺できればもはや言うこと無しだ。 ルイズの部屋から戻って来た王女を言いくるめて、自分も任務に参加できるように仕向ける事は造作もなかった。なにしろこの身は自身を守護する魔法衛視隊の隊長である上、「婚約者が心配だ」「マザリーニ枢機卿からも姫殿下の命に従えと」等と告げれば良かったのだから。流石に任務の内容に関しては何も話さなかったが、十分知っていたので聞く気も無かった。 そう、自分が欲しいのはルイズの家系ではなく、ルイズの力なのだ。 ルイズの疑念が篭った声に、ワルドは明るく笑いながら答えを返す。 「やれやれ、何を言い出すかと思えば。僕の大事な人はそこまで僕を信用してくれないのかい? 言っておくけど、僕が言った事は全て心からそう思ったからなんだよ? 君に特別な力を感じたし、確信もしている。 流石に、今まで放っておいて、会った途端に結婚を言い出したのは性急すぎたかもしれないけれど。ただ僕がどれほど君の事を思っているか、それだけでも分かってはくれないだろうか。」 ワルドは、じっとルイズの瞳を見つめながら話しかける。 そんな、ワルドの視線にルイズは頬を染めながら目を逸らし、口の中で何やら呟く。 実際、ルイズとて嬉しいのだ。これまでの人生、あまり褒められた事も口説かれた事も無かった。そういった意味ではルイズは本物の箱入り娘と言っていいだろう。 「そ、それは。疑ったりしてないわ。 けど、私は未だ実技では失敗ばかりだもの。それなのに、いきなりあんな事を言われても理解できないのよ。 第一、貴方があそこまで言える根拠って何なの?私にはメイジとして誇れるものなんて何もない…。」 「いや、君は忘れているだけだよ。」 「え?」 「君の使い魔の彼さ。確か、ヒュー・スペンサーだったか。 聞いた話では、遍在すら使いこなす優秀なメイジだという話じゃないか。そんな人物を使い魔にできるほどの力を君は持っているんだよ。 古来、幻獣や韻獣を使い魔にした例はあっても、メイジを使い魔にしたメイジなんて聞いた事が無い。これは誇っていい事なんだルイズ。 君には力があるんだよ。」 「え、ええ。ヒューが凄い人だっていうのは分かっているけど…」 言いよどむルイズを見て、ワルドは少し焦りすぎたかと省みた後、偽りの笑顔を浮かべつつルイズに話しかける。 「すまない、思った以上に美しく成長した君を見て、焦ってしまったみたいだ。」 「ワ、ワルド。いきなり何を言い出すの!」 「醜い男の嫉妬ってやつだよ。 笑ってくれルイズ、僕は君に再会してから今まで、ずっと君の事が頭から離れなかったんだ。 叶うことなら、君を薔薇に包まれた屋敷に隠して、世の男共の目に触れさせたくない位さ。」 「そんな、そんなこと言われても困るわ。だって私達、これから姫殿下の任務を果たさなければならないのよ?」 「ああ、そうだね。 残念だけどこの話は一度引っ込めよう、この話は任務が無事終わった後、改めて考えようじゃないか。」 自ら引いてくれたワルドにルイズは、なにやら申し訳ない気持を抱いた。その気持からだろうか、ワルドの部屋を辞する時にふと、言葉が零れたのは…。 「ごめんなさい、ワルド。でも、貴方の事を嫌ってるわけではないの。」 「ああ、分かっているとも。愛しい人。 謝るのは僕の方さ。いきなり、あんな事を聞いたら普通は混乱してしまうからね。 さあ、もう夜も更けてしまった。まだ旅は始まったばかりだ、疲れを残さない為にも早く休んだ方がいい。」 「ええ、ありがとう。ワルド、おやすみなさい。」 「おやすみ、ルイズ。」 ワルドはルイズの額に優しく接吻をした後、部屋から送り出した。 ルイズを送り出し、一人部屋に戻ったワルドは、ベランダでワインを傾けつつ、計画通りにいかない現実に歯噛みしていた。 自分の有能さをルイズに見せる為、ヒュー達を置き去りにした結果、予定外の戦力が増えた。 孤独な学生生活を送っていたはずのルイズにいた友人や、彼女の成長…予想外の事が次々と起きている。 恐らくこういった事の原因には、あの使い魔の男“ヒュー・スペンサー”が絡んでいるのだろう。認めたくはないが、あの男が緩衝材になることで、ルイズが周囲に対して目を向けるようになったのだ。 ルイズが孤独だったら篭絡する事は容易かっただろう。孤独な人間は一見、いくら強く見えても、容易く揺らぐ。恐怖で、そして、偽りであろうとも愛情で。 再びルイズを孤独にするには、あの使い魔が邪魔だった、ヒューをなんとかすればルイズは自分に頼らざるを得なくなるだろう。 何といっても自分とヒュー以外は学生しかいないのだ。ヤツを何とかすれば後の小娘や小童はどうとでもなる。 一番いいのは、ヤツを消してしまう事だが相手は自分と同等か少々劣る位の使い手だ。慎重に事を運ばなければ手痛いしっぺ返しを食らいかねない。 どうしたものかと、考えているとワルドの視界ギリギリに見覚えのある、コートが翻った。 よく見ると、今まで対策を考えていた男…ヒューだった、色街に行くつもりなのか、ギーシュを連れて行っていないのは都合が良い。 即座に遍在を唱え自分の分身を生み出して、ヒューを追わせる。すでに見えなくなっていたが、その場合は待ち伏せをさせる。 場所は、この宿へつながる路地裏、数箇所に配置しておけば、どこから戻ろうと必ずどれかに引っかかるだろう、相手が遍在を使う前に怪我の一つも負わせておけば、後々仕事もやりやすい。 ワルドは未だ、自分がついていると疑いもしていなかった。 ヒューは1人、宿を抜けてラ・ロシエールの街を歩いていた。 マチルダに教えてもらった、キンバリーという商店へ向かっているのだ。 元々、アルビオンへ渡った際、地元の協力者を得る為にマチルダに協力を依頼したのだが、タバサも参加した為、もはやただの配達人となっている。 <IANUS>経由で<ポケットロン>に移した地図を見ながら、街の影を縫うように歩いて商会に向かう。 「ここか…」 フネを意匠化した看板には、ハルケギニア語でキンバリーと記されていた。 周囲を確認して、人がいない時を見計らい商会の扉を叩く。 しばらく経った後、扉に備え付けられているスリットが開き、中から誰何の声が飛ぶ。 「どちら様でしょうか?本日の営業は終了しましたが…」 声に対して、ヒューは封筒の封蝋が見えるようにスリットにかざす。 「こちら様だよ、悪いけど入れてくれるか?」 「!少々お待ちを。」 暫く〔といっても5分もなかったが〕待った後、人一人やっと通れる位の隙間が開く。 滑り込む様にヒューが中に入ると、中には3人の男がいた。正面に初老の男が1人、右斜め前に少年が1人、そして扉を開けたであろう壮年の男が短剣を携えて左側に立っている。 ヒューはその立ち位置を確認すると、不敵な笑みを浮かべて両手を上げる。左手にはマチルダから受け取っていた封筒がある。 壮年の男が封筒を受け取ると、中央にいる男に渡す。 渡された初老の男が封筒の中を確認している間、ヒューは警戒の視線にさらされたが、気にする風も無く上げていた両手を下ろし、扉に背を預けた。 手紙を読み終わったのか、初老の男がヒューに話しかけてくる。 「さてヒュー・スペンサー様でしたか、自己紹介が遅れましたな、私はキンバリーと申します。 手紙によると何か依頼したい事があるとか…、ご要望をお聞きしましょうか。」 「情報が欲しい。王党派、レコン・キスタ双方のなるべく詳細な現状だ。それとなるべく詳しい地図があったら見せてくれ。」 「ほう、手紙には案内人の紹介云々とありましたが、それはいいのですかな?」 「ああ、そちらについては何とかなりそうだからな。」 「左様ですか。情報でしたな…大まかな所は巷で広がっている通りです、レコン・キスタの勢いに押され、王党派の軍は既に千を切っております。今ではニューカッスルに立て篭もっている者で全てでしょう。」 「対峙している軍の概要は?」 「王党派に対峙しているレコン・キスタの軍勢は傭兵も含め5万、フネの方はロイヤル・ソヴリン…レコン・キスタでレキシントンと改名した最新鋭の戦艦を始めとして10数隻が参戦しております。」 「よくもまぁ、それだけの戦力差がついたもんだな。アルビオンの王家っていうのはそこまで無能だったのか?」 ヒューの呆れたような感想にキンバリーは頭を振った。 「いいえ、可もなく不可もなくといったところでしょうか。」 「となると、何か理由があるのか?」 「はい、この騒動…いえ、内戦では度々奇妙な裏切りが続発しております。」 「奇妙な裏切り?」 「そうです、王に対して絶対的と言っても良いほどの忠臣の裏切りが多発しまして。」 「それが」 「ええ、恐らく彼等が言う『虚無』による力ではないかと。」 ヒューは、クロムウェルが『虚無』の使い手ではないという事は確信していた。何しろ覚醒に必要な要素が普通の方法では、まず手にする事が出来ない物なのだ。仮に王家の落胤だったとしても、残り二つを手にするには天文学的な確率の幸運が必要になってくるだろう。だからこそ、次にする質問は決まっていた。 「他に人の精神や心に干渉できる魔法やモノに心当たりは?」 「そうですな、禁制の水の秘薬なら可能性はありましょう。後は…そう、『先住』という可能性もあります。」 「レコン・キスタのクロムウェルっていう男は、水の使い手なのか?」 浮かびあがった疑問をキンバリーに聞く。 「例の司教ですか。いえ、系統魔法を使えるという話は聞いた事はありません。」 (となると何がしかの薬か道具という線か…。) キンバリーの答えを聞いたヒューは、クロムウェルの力に関して考えを巡らせた後、別の質問をする。 「じゃあ、次は王党派だな、何か聞いているかい?」 「特に何も。王が体調を崩されている為、実質的に率いているのは皇太子だ、という事くらいでしょうか。」 「後、アルビオン関係で何か話を聞いていないか。」 「…そういえば、最近妙な空賊がよく出るという話です。」 「妙な空賊?」 「はい、大体ラ・ロシエールから出るフネを狙って襲っているという話ですよ。」 「その空賊は何かおかしいのか?」 「メイジの数です。」 「多いのか?」 「はい、逃げ帰った船乗りの話では、船長以下10名以上のメイジがいたとか。」 「普通はどれ位なんだ?」 「5名もいれば多い方でしょう。」 「なるほどな、参考になったよ。」 そこまで聞いたヒューは、アルビオンの地図を見せてもらって商会を立ち去った。 街を歩いていると、デルフがヒューに小声で語りかけてくる。 【相棒、なんでまた空賊の事をあそこまで聞いたんだ?】 「可能性の問題かな。」 【可能性?】 「ああ、もしかしたら思ったより早く皇太子と会えるかもしれない。」 【そいつは、どういう意味だい?】 「こいつはもう推理とかそういったもの通り越して、ただの願望だからな。当たればもうけものっていうヤツさ。」 【良く分からんが、当たれば良いなその願望。そうそう、そういえばさっき言ってた話なんだけどな、心当たりがあるぜ。】 「というと?」 【心を操るとかいう話さ。】 「お前が知っているとなると、『虚無』関係になるのか?」 【いいや、『虚無』じゃない。確か『先住』にそういった類の…】 デルフリンガーと会話をしつつ、宿への近道とばかりに裏道へ入った瞬間、不意にヒューがデルフの口を止める。 「デルフ」 【どうした?相棒】 「お客さんだ。」 人がすれ違える事が出来るかどうかという位、狭い路地裏に1人の男が立ちふさがっていた。 杖にマント、貴族らしい出で立ちだ。顔は仮面をかぶっているので分からないが、露になった口元からは髭が覗いている。 ミラーシェード<弥勒>の下に隠れたヒューの目が、冷たい光を湛えた。 (貴族派か…となると、存外連中の手は長いようだな。上手い事捕まえる事が出来れば御の字だが。) 「どいてくれると有難いんだけどな。それともこちらがどこうか?」 まずは軽く話しかけてみる、敵対するにしろ懐柔するにしろ、相手の人となりは知っておきたい。 しかし、そんなヒューの思惑を知っているのか、男は杖を抜いてヒューに突きつける。どうやらバディにはなれないらしい。 男が構えた杖は、中々立派な拵えのもので武器としても十分機能しそうだった。 ヒューは内心、舌打ちをしながら戦闘態勢を整える。左手で懐からナイフを取り出し、右手にデルフを構える。 <IANUS>に音声と映像のバックアップを最大レベルで命じながら、相手の出方を伺う。相手を見ると不思議な事に、どこか戸惑っている様に見える、あたかも聞いていた話と違うモノを見たような反応だ。 「さて、人違いならいい加減、勘弁して欲しいところなんだが…。どうする?ミスタ」 ヒューのその軽口に激昂したのか、それとも元からそのつもりだったのか、男の杖から風の槌=エア・ハンマーがヒューに向かって飛ぶ。 ここが狭い路地裏だという事から、確かにこの選択は間違いではなかっただろう。左右にも後にも、そして下にも逃げる余地など無いのだ。フライだろうとレビテーションだろうと、唱えて宙に逃れる前に空気の槌に打ち据えられるだろう。 しかし、男が対峙しているのはメイジではなかった。災厄の街から来た“幽霊”ヒュー・スペンサーだ。 ヒューはエア・ハンマーが到達する刹那、周囲の壁を確認する、N◎VAと比べる事すら愚かしいほど起伏に富んだ壁面、なればこそ、可能な回避方法があった。 “それ”を見た時、仮面の男は自分の常識に疑惑を、対峙している男…ヒューの能力に驚愕を抱いた。路地を埋め尽くした回避不能のエア・ハンマー。しかし、あろう事かヒューは必中の攻撃を“壁を駆け上がって避けた”のだ! しかも、左手に携えていたナイフを恐ろしい程の速さで投げつけて来る。その為、ヒューがフライやレビテーションで回避した際に使おうと準備していたエア・カッターで迎撃せざるをえなかった。 ナイフを打ち落とした後、辺りを見るがヒューの姿はどこにも見えない。あせってヒューを探す仮面の男の耳に、どこからともなく、からかう様な声が響いてくる。 「じゃあな、ミスタ・クラウン。風を吹かせたければ風車かフネの帆にでもやっている事だ。」 急ぎフライを唱え、周囲を上空から見回したが、ヒューの姿は大通りの人波にまぎれこんだのか、もはやどこにもなかった。 そう、あたかも“幽霊”の如くその姿を眩ませたのだ。 前ページ次ページゴーストステップ・ゼロ
https://w.atwiki.jp/hentaiatxhentai/pages/549.html
ゼロの使い魔とは、原作:ヤマグチ ノボル・絵:兎塚 エイジのライトノベルをアニメ化した作品である。 他にネットラジオ・漫画・ゲーム化がある。略称して『ゼロ魔』とも呼ばれている。 このアニメには、強いくぎゅううううううううううううううううううと釘宮病が含まれています。 原作のライトノベルは、メディアファクトリー・MF文庫Jレーベルから。 本編は20巻(原作者死去のため、物語は未完結)、外伝は5巻刊行 原作者であるヤマグチ ノボルは、がんによる闘病生活を続けていたが2013年4月4日に死去(41歳没)。 …合掌 アニメ化は2006年7月から始まり、最新作の第4期が2012年1月より放送予定である。 アニメーション製作はJ.C.STAFFが担当。アニメ版については下の一覧表参照。 【TVアニメ一覧表】 シリーズ数 タイトル 放送期間 放送局 第1期 ゼロの使い魔 2006年7月~9月 チバテレ・他U局 第2期 ゼロの使い魔 双月の騎士 2007年7月~9月 チバテレ・他U局 第3期 ゼロの使い魔 三美姫の輪舞 2008年7月~9月 チバテレ・他U局 第4期 ゼロの使い魔 FINAL 2012年1月~3月 チバテレ・他U局 ※チバテレ→旧名・チバテレビ(千葉テレビ)、2008年で改名。 ちなみにCSでは第4期を除きキッズステーションが初であり、ほぼ一、二週遅れで放送している。 このアニメはお下がりものだったのである。ただし第4期のみAT-Xは製作委員会に参加している。 しかも2010年5月の『今月の新番組情報』では、当時唯一の最新作で、テレビ東京より28日遅れで放送した「メタルファイト ベイブレード爆」がキッズステーションで放送済かつ、3年10ヶ月遅れのゼロ魔の下になっている。 シリーズ数 キッズステーション ⇒ AT-X 第1期 2006年7月7日 ⇒ 2010年5月6日 第2期 2007年7月13日 ⇒ 2010年8月5日 第3期 2008年7月17日 ⇒ 2010年10月28日 第4期 - - 2012年1月7日 第4期はチバテレ、TVKより一日早い放送。 AT-Xでの放送は全シリーズ通して、通常枠で週1話・通常枠で週2話・ベルト枠ですでに3度放送されているが、 来る2011年の大晦日の日には、第1期~第3期全てを一挙放送。 【ゼロの使い魔シリーズ一挙放送】 放送時間は下記の一覧表参照。釘宮 理恵、日野 聡の二大声優をゲストにミニトークを、合計39回放送。 タイトル 放送日時時間 ゼロの使い魔(全13話) 12月31日・07:30~10:30 ゼロの使い魔 双月の騎士(全12話) 12月31日・13:00~18:00 ゼロの使い魔 三美姫の輪舞(全13話) 12月31日・18:00~23:30 アニメ本編の後にミニコーナーがあり、ガシャポンを使って出てきたカプセルの内容でフリートークを展開。 それぞれのシリーズ中はCMは一切流れない。アニメ本編第1話→(トーク→アニメ本編を繰り返し)トーク→アニメ本編最終回 大晦日なだけあって『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで・絶対に笑ってはいけない空港24時』など、特番等がぶつかってしまい、実況板が何度か落ちてしまった。 【放送リスト】 回数 放送枠 第1期 第2期 第3期 1回 通常枠・1話ずつ 2010年5月6日 2010年8月5日 2010年10月28日 2回 通常枠・2話ずつ 2011年1月31日 2011年3月21日 2011年5月2日 3回 ベルト枠 2011年4月7日 2011年7月14日 2011年10月7日 4回 一挙放送(※再放送なしの1回) 2011年12月31日 回数 放送枠 第4期 1回 通常枠・1話ずつ 2012年1月7日 2回 4回枠 2012年6月19日 果たして5回目はあるのだろうか…? 《主な登場人物》※一部ネタバレあり(それでも見たい方はクリックされたし) 【トリステイン魔法学院の人々】 ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール(声・釘宮 理恵) この物語のヒロインであり、ツンデレである。授業で召還した平賀 才人を「バカ犬」と呼ぶが、密かに好意を抱いていた。声がシャナに似ているのは、同じ声優が担当しているためである。『うるさいうるさいうるさい!』 実は… 『虚無』の魔法使いであり、第2期あたりでデレ始めるらしい。 平賀 才人(声・日野 聡) ルイズに召還されて使い魔になってしまった17歳の普通の高校生。何かとルイズにお仕置きされてしまう女好きのへタレだが、実は武器の使い手である。ちなみに『灼眼のシャナ』の坂井 悠二の声も同じ声優が担当している。 キュルケ(声・井上 奈々子) ルイズの同級生で、お色気担当のナイスバディな巨乳女。使い魔は火竜(サラマンダー)。何かとルイズに突っかかってきたり、才人に誘いをかけたりする。フルネームは『キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストー』。 タバサ=シャルロット・エレーヌ・オルレアン(声・いのくち ゆか) ルイズの同級生で、眼鏡っ子でいつも本を見ている森田さんは無口な長門 有希少女。使い魔は風韻竜(ドラゴン)である。第1期の第6話では、かなりマジな一面を見せている。ちなみに幼い頃は明るい性格で眼鏡っ子ではなかった(第8話の回想シーンから)。豹変した母親に苦悩したり、悪夢でうなされる事もしばしば。余談だが「まほらば~Heartful days」で空木 桜の声を担当した頃は、『猪口 有佳』と平仮名でなく漢字である。井口 ギーシュ・ド・グラモン(声・櫻井 孝宏) ルイズの同級生で、バラがトレードマークの女たらしのスケコマシ。使い魔は巨大モグラ・ヴェルダンデ。アニメ版ではかなり人気のあるキャラクターだったらしい。ちなみに第1期の最終回では、ある意味貢献した活躍をみせている。 モンモランシー・マルガリタ・ラ・フェール・ド・モンモランシ(声・高橋 美佳子) ルイズの同級生でギージュと一緒にいることが多い負け組。使い魔はカエルのロビン。香水の錬金が得意で、また惚れ薬も練成したりもしてる。その惚れ薬でルイズがとんでもない事に…。 惚れ薬を飲んでしまったルイズは… 一気にデレた。(ただし元に戻ると、一気に激怒モードに。) シエスタ(声・堀江 由衣) 機用で手際がいい17歳(井上 喜久子ではない)の会長はメイド様。才人に好意を寄せている。第1期のOPでは、セーラー服姿の汗たらりのシエスタが見れる。実は例のアネ オスマン(声・青野 武、第4期のみ島田 敏) トリステイン魔法学院の学院長で、セクハラ爺さんだが高名なメイジである。ただしアニメ版ではメイジとして活躍の場が少ない。年齢は100~300歳らしい。ハツカネズミを使い魔にしており、これを使ってロングビルの股座に潜入させ、パンツの色を物色したりしている。なお第4期の代役の理由は、2010年に脳梗塞で入院したためである。病状は快方に向かっていたが、2012年4月9日永眠、享年75歳。 ロングビル(声・木村 亜希子) トリステイン魔法学院の秘書で、オスマンにセクハラされまくりの23歳。「ミス・ロングビル」と呼ばれている、気品あるお姉さん風の女性。 だが、実は… 女盗賊フーケで、口調は少し荒々しい。第1期の第6話で魔法の杖(バズーカ砲)を奪うため、その正体を才人たちに明かした。第7話以降は眼鏡をかけている。また彼女の家柄やフルネームを知っていたのは、後でも触れるがワルドだけのようだった。…にも関わらずOPでは最終回まで、ロングビルが除外されず普通に登場している。蛇足として、レギュラーキャラが物語の中盤あたりで、実は敵だったという展開は『アスラクライン2』『Weiß kreuz Gluhen』『宇宙大帝ゴッドシグマ』などでも使われている。 ジャン・コルベール(声・鈴木 琢磨) トリステイン魔法学院の教師で、ほぼハゲ頭。『炎蛇』の二つ名を持つが、科学的な研究も行っている。 『ハゲキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!』『俺たちのハゲ』ちなみにキャラクターソングも出ている。 【貴族連合レコン・キスタの関連人物】 フーケ=マチルダ・オブ・サウスゴータ(声・木村 亜希子) 第1期の第5話から登場した女盗賊で、土ゴーレムを生み出す「土くれのフーケ」。 OP、第5話はフードで素顔を隠している。第6話で才人にあっけなく倒された後にトリステイン王国の独房に拘束されるが、 ある男の協力で脱獄、貴族連合レコン・キスタの一員となり、ルイズ達の前に立ちはだかる。キュルケに「年増」呼ばわれされ「私はまだ23よ!」とムキになる一面もある。アニメ版の第2期以降には登場していないため、第1期の最終回で敗退したその後の消息は不明である。 蛇足だが、 原作ではトリステイン魔法学院の秘書になった経緯が描かれているが、アニメ版では一切触れられていない。独房から脱獄したのに、誰も突っ込みがなかったのも謎である『\アッカリーン/』。オスマンから受けたセクハラ…。 謎の男(声・?) 仮面をつけた正体不明の謎男。『同志を迎えに来た』と言い、土くれのフーケの脱獄を助けた張本人でもある。フーケと共にルイズ達の行動を監視したり、キュルケ達の前に立ちはだかり襲撃する。 その正体は…? 後でも触れるが、ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルドである。 オリヴァー・クロムウェル(声・斉藤 次郎) 貴族連合レコン・キスタの総司令官で年齢は30代の半ばのいかにも悪人ズラな司教。 第1期の敵の黒幕的存在でトリステイン王国の侵略を企む。ただし平民出身のため、魔法は使えない。 その代用として「アンドバリの指輪」を使用して、クロムウェルを慕う国民や同じ貴族連合の兵士などの前で「虚無」を演じていた。 この指輪の魔力でキュルケ達を動けなくしたり、ルイズを操ったりしている。 その後… 第1期の最終回では、フーケが敗北して逃走、ワルドが虚無の魔法で消え去り、トリステイン王国侵略に送り込んだ兵士たちも倒され、完全に不利と感じて逃亡しようとするところをキュルケたちと鉢合せになり、アンドバリの指輪で彼女たちの動きを封じるも、たまたま通りかかったギーシュの加勢であえなく敗北し、トリステイン王国の独房送りとなった。なおクロムウェルは第2期にも登場しているが、アンドバリの指輪を奪い返したシェフィールドに暗殺される。 【第2期以降からの登場人物】 ティファニア・ウエストウッド(声・能登 麻美子) ウエストウッド村の出身のハーフエルフで巨乳キャラ。愛称は「テファ」。 実は… 戦闘で死亡した才人を蘇生したのは彼女である。 イルククゥ(声・井口 裕香) タバサの使い魔である風韻竜=シルフィードの人間した姿。実はメスだった事が判明された。キュルケ、ティファニアにも劣らぬ巨乳で、変身後は全裸である。 ジョセフ1世(声・小杉 十郎太) ガリア王国の国王で、虚無の魔法を使えるのだが、世間の間では「無能王」と呼ばれている。普段は一人チェス、人形を使った戦争ごっこなどをして遊んでいる。 実は… 貴族連合レコン・キスタと、総司令官であるクロムウェルを裏で操り、アルビオン・トリステイン・ゲルマニアの国々を翻弄するなど、裏で悪行を企てている鬼謀な王だった。またシェフィールドを使い魔にして才人たちを何度も襲撃している。第4期でも登場しており、ルイズたちとの死闘の末、シェフィールドと共に火石の爆発で死亡した。 シェフィールド(声・勝生 真沙子) 神聖アルビオン共和国皇帝クロムウェルの秘書。 その正体は… その正体はジョセフ1世の使い魔で、魔道具を操る『神の頭脳・ミョズニトニルン』。才人たちの前に立ちはだかる。第4期でも登場しており、ジョセフ1世と同じ理由で死亡した。 【その他・ゲスト等+α】 デルフリンガー(声・後藤 哲夫) 才人の武器。片刃の長剣で意思を持つ魔剣「インテリジェンスソード」。タメ口口調だが、頼りになる相棒的存在である。 スカロン(声・後藤 哲夫) 第1期の第7話に登場した「魅惑の妖精」亭の店長。ゴリマッチョなボディにオネエ言葉を使う。『ウホッ!いい男』娘に看板娘のジェンカ(声・樋口 あかり)がいる。ルイズは、この酒場でアルバイトをするハメとなった。 アンリエッタ・ド・トリステイン(声・川澄 綾子) トリステイン王国の王女で、ルイズが慕ってる。別名『ロイヤルビッチ(*1)』。アルビオン王国のウェールズ王子(声・山中 真尋)を愛していたが…。 オルレアン公夫人(アニメ版では『タバサの母』『タバサ母』)(声・土井 美加) アニメ第1期の第8話に登場。まるでゾンビのような醜いおぞましい姿で、人形を我が子にように可愛がっているというその狂気さは、視聴者にトラウマを与えかねないキ◯◯イBBA。実の娘であるタバサには全く眼中になく、彼女にひどい罵声を浴びせたり、下手すればタバサ自身が死亡しかねない危険な任務をやらせたしたりしている(*2)。なお回想シーンに登場したオルレアン公夫人は、別人のような美しさである。『ママン、綺麗だよ』。オルレアン公夫人は第4期にも登場している。 なぜこうなった?… 第1期の第8話の回想から。「心を狂わせる水魔法」の入った毒入りの飲み物をタバサに飲ませようと企む貴族の男に気づいたオルレアン公夫人が、無理矢理タバサから取り上げて自分で飲んでしまったため。「投げ捨てればいいいんでね?」と突っ込まないように…。毒入りの飲み物を飲んだオルレアン公夫人は、毒の効果で狂気化してしまい、今の状況になってしまったのである。なお、タバサを狙った貴族はいうまでなく断罪されている。オルレアン家の執事であるペルスラン(声・田原 アルノ)は、今もその事を悔やんでいる。キュルケはタバサの家庭事情をこの時、知る事となった。 ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド (声・26歳・志村 知幸、青年時代・鈴木 達央) ルイズが「理想の王子さま」と慕っていたグリフォン隊・隊長のイケメン髭男爵。二つ名は「閃光」。ルイズに婚約を申し込むため、現れるが…。 実は… 実は貴族連合レコン・キスタの一員で、ウェールズ王子をルイズたちの目の前で殺害した悪い奴《ワルド=悪(わる)奴(ど)》だった。いわゆる腹黒ある。裏でクロムウェルがアンドバリの指輪を使ってルイズを操り、本人の意思とは関係なしで無理矢理結婚しようとしているところから、ワルドにとってルイズは利用するだけの存在でしかないと思われる。最終回では、ゼロ戦に乗った才人とルイズに戦いを挑み、ルイズの虚無の魔法で消し飛ばされる。その後の生死は不明である。なお、フーケの脱獄の手助けをしたのもワルドである。 新井 里美 こちらは登場人物でなく、声優の新井 里美の事を示している。実は様々な使い魔役を演じている。 (演じた使い魔) フレイム(キュルケの使い魔・サラマンダー) シルフィード(タバサの使い魔・風韻竜=ドラゴン) ヴェルダンデ(ギーシュの使い魔・巨大モグラ) ロビン(モンモランシーの使い魔・カエル) モートソグニル(オスマンの使い魔・ハツカネズミ) 『ババアキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!、黒子キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!! 』 1人何役という大役はのちの「キルミーベイベー」の『エトセトラガール』に発展する。
https://w.atwiki.jp/dangerousssig/pages/39.html
【二度目の結婚式来賓募集中】鬼と元怪物狩りのスーパーミラクル☆ラブラブラブリー夫婦【友達も募集中。是非来てね】 クロムウェル・バッテンフォール ■キャラクター名:クロムウェル・バッテンフォール ■ヨミ:クロムウェル・バッテンフォール ■性別:男 ■武器:呪刀【黒雨】 特殊能力『独断専行唯我独尊』 炎、雷、呪い、心、雲、幽霊、超固い岩、絶対に斬れない盾等々の『斬れないモノ』を、『斬れるモノ』に定義する能力。 定義は瞬間的に行われ、解除も同様にクロムウェルの意思で瞬間的に行われる。定義出来るモノは『クロムウェルが存在を認識しているもの』である。これは五感によって察知しているかに関わらず、唯クロムウェルが『存在している』と認識していれば良い。 例えば五感で察知できない幽霊が居たとして、クロムウェルが五感以外の方法で幽霊の存在を察知、あるいは存在する事を知っていたのならば、『斬れるモノ』に定義出来る。 基本的にクロムウェルが定義したいと思えばだいたい何でも定義する事が出来るが、『愛情』と『恋慕』だけは『斬れるモノ』に定義する事が出来ず、斬る事が出来ない。 設定 ●プロフィール 数百年の時を生きる元怪物狩り。正確な年齢は覚えていない。 かつては残虐無慈悲な天才怪物狩りと評されて来たが、今では鬼であり妻である百合子と、元呪いの殺戮人形であるメイドのファイと共に、森の中の洋館にて暮らしている。 怪物狩りを止めてからは、クロムウェルは幽霊や呪いを断ち切れる自らの魔人能力を活かしてエクソシスト紛いの仕事を偶に受けており、そのことごとくで大金が支払われる為、生活には全く苦労していない。 メイドであるファイは、かつて百合子と共に新居を探す際、偶々発見した呪いの洋館の中で出会い、凄まじい死闘の末にクロムウェルがその身を縛り付けていた呪いから解き放った。以降、ファイはクロムウェルと百合子に忠誠を誓っている。 妻の百合子をとても深く愛しており、世界で一番かわいく美しいと確信している。とにかく百合子が好きでたまらない。百合子LOVE。 夜の営みの為、メイドのファイに密かに高校の制服を入手させたが、万が一引かれた時のリスクを考慮し、未だに『着てほしい』と頼めずにいる。 ●身体的特徴並びに戦闘能力 暗めの金髪に、青い瞳。身長が高く、妻の百合子とそれなりに身長差がある。 普段から妻の百合子から勧められる多種多様な着物を着ているが、基本的にはシンプルな青い着物を着ている。 『バッテンフォール家』という怪物狩りの一族に生まれたクロムウェルは、その全身に呪術や魔術や手術やその他諸々のあらゆる身体強化の為の改造が施されており、その為に人間離れした寿命と、肉体的な強さを得ている。 幼い頃から厳しい戦闘訓練を実践と座学の両方で叩きこまれており、百年近い怪物狩りとしての経験もある。魔人として覚醒した事で、刀で通用しない相手を強制的に刀で切り伏せる事も可能となった。 また、怪物狩りを止めてからも定期的に妻の百合子とじゃれあいという名の激しい模擬戦闘を繰り返しており、腕が鈍るどころが上達の一途を辿っている。 クロムウェルが所持する呪刀【黒雨】は、かつてファイが潜んでいた呪いの洋館に納められていたものであり、手にしたものに人ならざる力を授け、代わりに凄まじい呪いに襲われる危険な代物だが、クロムウェルは呪刀の『呪い』の部分だけを都合よく切り離し、持つだけで更に強くなるラッキーな刀として扱っている。 百合子 ■キャラクター名:百合子 ■ヨミ:ユリコ ■性別:女 ■武器:素手 特殊能力『鬼神』 心身に、天元突破した凄まじい力が常に与えられる。 設定 ●プロフィール 鬼ヶ島と呼ばれる、鬼が統治する鬼の為の島、その首領を務める鬼の孫の孫。 『戦神』『武帝』と評される両親から生まれた為、幼き頃から『鬼神』と呼ぶに相応しいとてつもない力を持つ鬼になるだろう、ともてはやされてきた。 百合子はそれを素直に受け入れ、その様な能力を持つ魔人として覚醒した。 しかしある日、『鬼以外の生物は下等で下劣で無価値』という鬼ヶ島の歪み切った常識が完全に狂っていると自ら判断した百合子は、引き留めようとする有象無象を蹴散らし1人で島を出、それからは本島の各地を転々とする。 百合子とその両親へ深い憎悪を抱く叔父から放たれる刺客を軽く退けながら、百合子は畏れ山と呼ばれる山の一角に居を定める事とし、時折人里に降りては自らの腕力を活かせる日雇いの仕事をして長い年月を過ごしてきた。その後、百合子は刺客として姿を現した後の夫となるクロムウェルと出会い、いろいろあって結ばれた。 夫であるクロムウェルを深く愛しており、その見た目も性格もとても可愛らしく思っている。どこかに影を持つ性格にも強く惹かれている。愛称は『クロ』。 食べちゃいたい位可愛い、という表現が世の中にはあるが、自分が人を食べる感じの鬼じゃなくて本当に良かったと思っている。でなければ多分食べていた。クロムウェルLOVE。 夜の営みの為、メイドのファイに密かにSMプレイ用のセットを用意させ、実際にやってみようとクロムウェルに提案した。しかし全く同じことをクロムウェルも考えており、なんやかんやあったが凄く良かった。 クロムウェルが夜の営みの為に高校の制服を入手した、とメイドのファイから密告を受けており、早く『着てほしい』と頼んできてほしいと思っている。 ●身体的特徴並びに戦闘能力 美しい黒い長髪、鋭く紅い瞳。額には小振りな2本の角。見た目は16、17歳の少女の様で、成人している様には全く見えないが、実際は数百歳である。正確には覚えていない。 右の頬には、かつてクロムウェルとの死闘で刻まれた深い傷跡がある。消すことも出来なくはないが、あえて残している。 クロムウェル曰く、『幼さを残しつつ妖艶でスーパーラブリーキュートな顔立ち』らしい。 常に鮮やかな赤い着物を着ている。 生まれた時から、鬼の中でも一際肉体的な強さに秀でていたが、魔人として覚醒してからは比べ物にならない程の力を得た。 握力も腕力も脚力も、全身どこを取っても力が凄まじい。長年の訓練によって力加減の調節は達人の域に達しており、殺し合いの中での手加減もとても得意。そこまででなければ、日常生活もままならないだろう。 また、パワーだけでなく防御の面でも凄まじい。銃弾は効かないわ刀でもチェーンソーでも全然斬れないわ、焼こうが電撃加えようが凍らせようが毒を盛ろうが平気だわ、といった感じで、『我こそは強者なり』という風に現れる刺客の攻撃を次々と涼しい顔でやり過ごす為、プライドが打ち砕かれた殺し屋を何人も泣かせてきた。基本お前が悪いんだけどでもなんかごめん、と思っている。 かっこよく武器を使ってみたいという願望はあるのだが、武器が壊れない様に力を調節しながら戦わなくてならないのは枷でしかない為、大人しく素手で戦う戦闘スタイルをとっている。戦闘訓練など面倒くさい事はしなくないが、戦うのは好き。 プロローグSS
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/2177.html
前のページを読み直す / 表紙へ戻る / さらにページをめくる 《『王宮日誌 シャルロット秘書録』より》 アルビオンの貴族派、『レコン・キスタ』からの使者。 そう、ユリシーズという男は名乗った。逃亡するトラクスとフーケ、それにルイズを『保護』するという。 私、ガリア人の『タバサ』は予定外だったらしいが、ルイズと同行するのを条件にアルビオンへ行く事になった。 商人用の馬車に身を隠し、私たちは夜道を港町ラ・ロシェールへ急ぐ。 ルイズの精神は、意地を張ってもかなり限界ギリギリだ。適切な環境でのケアが必須。 具体的には、ケガの治療と沐浴、更衣、ちゃんとした住環境とまともな食事。そして従順な使用人。 私はいいが、『貴族』として振舞う事を第一とする彼女には、これらがどうしても必要なのだ。 『蛮人』トラクスの存在は、それを真っ向から否定している。『ロングビル』でも無理だ。 それに私はコミュニケーション能力に難がある。危険だが、選択肢はなかった。 「そう怖い顔をしないで下さい、ミス・タバサ。スマイルスマイル。 大丈夫ですよ、彼女にも貴女にも、丁重な扱いをさせて頂きますから。はい、『はしばみ草のサラダ』ですよ。 宿泊先とフネ(飛行船)には、豪華なお食事もご用意いたします」 ゴクリ。流石にサンドイッチとワインが少しでは、空腹を癒せない。 ここは素直に従うのが一番だろう。心底悪い奴はいないはずだから。 そう自分に言い聞かせ、私はサラダを食べた。やはり、はしばみ草は最高だ。 「ねぇ、ミスタ・ユリシーズ。食事もいいが、大丈夫なんだろうね? トリステインの追っ手や賞金稼ぎが襲って来たら、どうするんだい」 フーケが心配そうに尋ねる。私もちょうど今、それを聞こうと思っていたところだ。 「ご安心を。街道沿いにいる野盗どもを多数買収して、トリステインの貴族を襲えと命じてあります。 ラ・ロシェールの町では、戦争のついでもありまして、傭兵やメイジを山ほど雇いました。 余程の手練でも、フネに近づく事さえできますまい」 ラ・ロシェールで一泊し、何事もなく『レコン・キスタ』が買収したフネに乗り込む。 目的地、浮遊大陸アルビオンまで、もう少しというところか。ちょっと拍子抜けだ。 一同は、隠れ家とはうって変わって贅沢なアメニティに酔い痴れる。 その頃地上では、ワルドとキュルケが悪戦苦闘していたそうだが。 「皆様、出発のご準備を。間もなく我が軍の旗艦、『レキシントン』に接舷、移乗いたします。 貴族会議の長、オリヴァー・クロムウェル閣下が接見なさいますので、失礼なきよう」 ユリシーズの言葉で我に帰り、四人が船室を出て集まる。 メイジ三人には儀礼用の、魔法がかけられない杖が渡された。もちろんデルフは倉庫だ。 「クロムウェル閣下、ねぇ。確か、ただの平民出の司教じゃない。 この私を人質にとって、トリステインとの交渉を有利に進めようっていうのね! 人の弱みにつけこんで、やるじゃない! テューダー王家に叛旗を翻すだけの事はあるわ」 ルイズが、ない胸と虚勢を張る。クックベリーパイを鱈腹食べて、幸せ一杯という顔だったが。 「しょ、しょうがないでしょ! アルビオンの料理は不味いって聞いてたけど、お菓子は美味しいのよ!」 窓の外に、岬の先端に聳えるニューカッスル城と、それに匹敵する巨大戦艦が見えてきた。 「やあやあ、これはこれは美しいお嬢様がた。ようこそ、アルビオン貴族派の旗艦『レキシントン』へ! 長い空の旅は、快適でしたかな? ご不満があれば、なんでもどうぞ。 もとは『ロイヤル・ソヴリン(王権)』という名前でしたが、もはやこの国の『王権』は失われますのでね。 我が軍の緒戦での戦勝地、レキシントンの名前をつけさせてもらったのですよ」 共和革命の指導者、オリヴァー・クロムウェルがにこやかに歓迎する。 三十そこらの痩せた男で、貴族ではなく司教として法衣を纏い、球帽を頭に載せている。 反乱のリーダーとするには、利害関係の直接絡む貴族より、司教程度の聖職者の方が何かと都合がいいという事か。 トリステイン王国のマザリーニ枢機卿しかり、政治に聖職者が関わる事自体は、珍しくはない。 挨拶もそこそこに、ルイズは丁重に別室に移される。ここからは機密事項だ。 「……さて、ご苦労だったミスタ・ユリシーズ。アンリエッタ王女の幼馴染だし、かなり利用価値はあるだろう。 あとは、この娘たちと蛮人トラクス、だったかな。 ふん、お前が蛮人の戦士か。噂には聞いているぞ。なかなか精悍だな」 クロムウェルの態度と雰囲気がガラリと変わった。 「ニューカッスルに潜入して、国王かウェールズの首級を持ってくるだと? 残り300とは言え、いわば精鋭。生半な戦士やメイジでは返り討ちだ。 君たちが我々の傭兵のような立場とは言っても、命を粗末にする事はないぞ」 値踏みしながらも不安がるクロムウェルに、フーケが堂々と答える。 「なあに、障害が多いほど燃え上がるのは、色恋ばかりじゃありませんよ。 このトラクス、魔法学院で手練の衛兵たちを40人、ばったばったと切り倒し、傷一つ負いませんでした。 メイジの魔法は魔剣で吸い取るし、その剣技の冴えは尋常ではございません。 それに手ごわい敵には、あたしが30メイルの巨大ゴーレムで対抗してみせますわ。 このマチルダ・オブ・サウスゴータ、王家に貴族の位を剥奪された恨みは骨髄に沁みております」 「ふむ。気乗りはせんが、一つやらせてみるか。せっかくお出で頂いたのだしな。 首尾よくいけば、望みのままに恩賞をとらせよう。正式に叙勲してもよい」 「じゃあ、彼に片腕の魔剣を返してやって下さいな。あれがないと大違いですから」 「あれが、ニューカッスルだ。わかるかね?」 トラクスとフーケとタバサは甲板に出て、艦長のボーウッド卿から戦況の説明を受ける。 「城攻めは普通、10倍以上の兵力を投入しないと勝てない。向こうにはフネも数隻あるし、メイジもいる。 君たちみたいに単騎で突入するような戦況では、まだないよ。我が軍の総攻撃を待って欲しかったな。 とりあえず、潜入するなら一番手薄なところを……」 「一番、敵の兵士が『集まっている』ところ、どこだ」 トラクスが話の腰を折る。 「は? おい、人の話を聞いていたのか? なるべく人の少ないところから……」 「強いところ、見せる。だから、なるべく『たくさん敵を殺す』。まずは、これだ。どいてろ」 トラクスが背嚢から、太い紐を編んだものを取り出した。中央部分が広く、そこから長細い紐が伸びている。 大きめの石も入っている。それを編み紐の中央に載せて包み、両端を掴んでぶん回す。 「『投弾帯(スリング)』……? おいおい、ここから城まで、何百メイルあると思っているんだい」 羊飼いが狐を追うのに使うような、原始的な投石器だ。何かの英雄気取りか。 ボーウッドは苦笑するが、トラクスの左手の甲のルーンは、『武器』の反応を感じて輝きを増す。 ブオン!! 回転は凄まじい速度に達し、トラクスの手から隕石のように石が放たれた。 あやまたず、櫓の上の兵士の顔に、『ぞりっ』と抉り取られたように穴が空き、大量の血を撒き散らした。 「「う、うわああああああ!!!?」」 櫓の上の兵士たちは、突然の惨状に驚愕する。しばらくすると、次の弾丸が飛んできた。 今度は肩から右腕をふっ飛ばし、石壁に穴を空けた。恐慌は大きくなった。 「やはり、弓矢の方が、連射がきく。港町で買っておいて、良かった」 そう言うと、トラクスは弓袋から短弓を取り出し、矢をつがえて引き絞る。 ビュウビュウと疾風が鳴り、城には雨のように矢が注がれる。 「弓、折れた。補強してくれ。矢もくれ」 呆然としていたフーケが、あわてて『錬金』で弓を『鋼鉄』に換える。 それも、アルビオンでよく見られる『ロングボウ』だった。矢も数十本作っておく。 ぎりぎりぎりっ、とトラクスが、途轍もない強弓を引き絞る。太い矢はまるで、投槍だ。 バンッ、という音とともに、その矢は恐ろしい速度で標的へ飛んで行き、兵士の腰から上を粉砕する。まるで砲弾だ。 「な、なんだ、さっきから! あの敵艦から飛んでくるぞ!!」 「貴族派の、新兵器の実験か!?」 まあ、そんなものだ。今やトラクスは伝説の『ガンダールヴ』の力を得て、『殺戮兵器』と化していた。 『ひょえええ、こりゃ俺様、今回からいらない子なんじゃあねーのか』 『安心しろ、今からたっぷり、血と脂とマジナイを食わせてやる』 背中のデルフが呟くが、トラクスは不敵に笑い、鉄弓を仕舞って相棒を抜く。 「フネ、城壁に、近づけろ!! ギリギリまで!!」 巨大戦艦『レキシントン』が、ニューカッスルの城壁にぐぐっと近寄る。反撃は、なかった。 フーケが覚悟を決め、杖を握る。タバサは見送りだ。 トラクスは武者震いすると、戦の神アレスに加護を祈り、雄叫びを上げて飛び出した!! 「アッララララ――――――――――イ!!!」 前のページを読み直す / 表紙へ戻る / さらにページをめくる
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/6817.html
前ページ次ページウルトラ5番目の使い魔 第43話 二人の黒い女 ウルトラマンジャスティス 高次元捕食獣 レッサーボガール 岩石怪獣 サドラ 宇宙怪獣 ゴルゴザウルス 肉食地底怪獣 ダイゲルン 登場! 全身を鎧に覆われたような貪欲な宇宙生物、レッサーボガールの群れが凶暴なうなり声を上げて威嚇してくるのを、 ジュリの冷ややかな視線がなでていく。その目的は4匹のレッサーボガール、全ての抹殺だ。 「……」 感情をあえて排除した冷たい目が、群れの隙を探して左右にゆっくりと動く。そこに、情けをかけて見逃そうなどと いう甘い考えはない。ただし、ジュリ、すなわちジャスティスは決して好戦的でもなければ力の信奉者でもない。 しかし、宇宙の絶対正義の守護者である彼女の使命は宇宙の秩序を守ること。ひとつの惑星の生態系に他の 宇宙生物が侵入すると、最悪そこの惑星全体を死滅させることがある。かつてジャスティスが戦ったサンドロスしかり、 それ以前から宇宙全体を荒らしまわっていた光のウィルスしかり、身近なところで言えば、外来種であるブラックバスや アメリカザリガニに日本古来の魚やニホンザリガニが駆逐されたり、オーストラリアに持ち込まれた犬によって フクロオオカミなどが絶滅させられた例がある。 まして、それが宇宙規模となれば、時に心を鬼にして侵入者を駆除しなければならない。 対して、食欲の権化であるレッサーボガールどもも、仲間が一体倒されて、この獲物が見た目ほどやわでは ないと悟り、今度は用心深く相手の動きを見ながら距離を詰めていくが、彼らはまだジュリのことを過小評価していた。 突進してきた一体のレッサーボガールの攻撃はバックステップで軽く避けられ、間合いがはずれて体勢を 崩したレッサーボガールは、充分な余裕を持って回し蹴りを繰り出してきたジュリの攻撃をまともに顔面に喰らい、 鉄のように固いはずの額を軽々と叩き割られて絶命。今度こそ、残った3体の間に本能的な警戒心が走った。 ウルトラマンは人間に姿を変えても、数々の超能力や、超人的な身体能力を発揮することができる。 セブンはウルトラ念力や透視能力、ジャックも融合した郷秀樹の身体能力をMAT隊員の水準以上まで高めたり、 エースもまったくの素人であった北斗と南をTACの試験に一発合格させるほどにしたくらいだ。 もちろん、これには個人差や同化した人間との相性もあるだろうが、タロウ以降の兄弟達はほとんど人間と 変わらない能力で過ごしている。超能力を度々使用した80も、用途を調査などにかなり限定している。これは、 兄弟達の経験から、あまり突出した能力は人間として生活するなかでうとまれる原因になるかもしれないと配慮して、 あえて超能力を封印しているのかもしれない。 けれども、異世界の存在とはいえ、宇宙の秩序を乱す者を排除する使命を持ったジュリの場合は力をセーブする 必要はまったくなく、他のウルトラマンに比べてその枠を大きく超えていた。 「ふん……」 瞬時に間合いを詰めて、一体の首根っこを押さえて地面に引きずり倒す。レッサーボガールも必死になって 抵抗しようともがくが、ジュリの力のほうが強い。 だが、その隙を突いて、残りの2体がジュリの背中に襲い掛かるが、すぐに反転したジュリは左の一体のボディに 正拳突きを繰り出してのけぞらせ、返す刀でなおも食いついてきた右の一体の額をひじ打ちで破壊する。 あっという間に5匹の群れが2匹にまで打ち減らされ、残った2匹はなんとかダメージを受けながら立ち上がったが、 口からよだれと血漿を漏らして、受けたダメージの深さが目に見えていた。 それに対してジュリは息一つ切らしていない。能力を隠す気もないジュリに殺す気で力を振るわれたら、 以前GUYSを手こずらせた怪獣といえども大人と子供も同然、勝負にすらなっていない。 しかし、レッサーボガールにはまだ隠された能力があった。 生き残った2体は、絶命した仲間の死骸に群がって、その肉を引き裂いて喰らっていく。するとどうだ、捕食した 2体の体が見る見るうちに巨大化し、あっというまに身長47メートルの巨体に変貌したのだ。 「共食いして自らの質量を増大させたか……」 巨大化した2匹のレッサーボガールを見上げながら無感情につぶやくと、ジュリは左胸のジャストランサーを 手に取り、あふれ出す金色の光に包まれて、自らもウルトラマンジャスティスへと変身した!! 「シュワッ!!」 ジャスティスと、2匹のレッサーボガールが睨み合う。 まったく隙なく構えをとるジャスティスは、威嚇の叫び声をあげてくるレッサーボガールにもまったく動じない。 いやむしろ、数で勝っているはずのレッサーボガールどもの方が、ジャスティスに気圧されているかのようにすら思える。 当然だ、いくら凶暴なレッサーボガールとはいえ、ジャスティスの長い戦歴から見れば上にいくらでも強い奴はいる。 まして、今はウェストウッド村のときのように気遣いをしなければならないものは何もなく、不安要素が皆無な以上、 油断しないように用心はしても、恐れる必要などは欠片もなかった。 十数秒の無益な睨み合いの後、先にしびれを切らしたのは、やはり知能に劣るほうであった。一匹は目から、一匹は 肥大した右腕から破壊光弾を同時に放ってくる。 「シャッ!」 だが、攻撃を見越していたジャスティスは、まるで瞬間移動したかのように瞬時に2匹の背後に回りこむと、その背中に 強烈なパンチをお見舞いした! 「フウァッ!!」 拳がめり込み、レッサーボガールはなにが起きたのかも理解できぬままに、背骨を砕かれていく。 この加速力、本気を出したときのジャスティスの動きは目で追うことも難しい。かつて異形生命体サンドロス、 スペースリセッター・グローカービショップと戦ったときも、敵が反応する以上の加速で間合いを詰めて攻撃している。 こんな真似ができるのは、彼女のほかには宇宙に一人しかいない。 「シャッ!!」 さらにハイキックを後頭部に決めて前のめりに倒し、首根っこと腰のあたりを掴むと、もう一匹のほうへと投げ飛ばした。 地響きが鳴り、針葉樹林がなぎ倒される。ぶつけられた一体は、早々に瀕死になったもう一体を乱暴に振り払うと、 目から赤色光弾を放った。けれどもそれもジャスティスが軽く腕を払うだけではじかれる。 さらに、おかえしとばかりにジャスティスは拳を突き出し、金色のエネルギー弾を放った。 『ジャスティスマッシュ!』 光弾は狙いたがわずにレッサーボガールの頭部を直撃、派手な火花を散らせて、巨大な鉄槌で叩かれたかのように レッサーボガールは頭を襲う痛みに苦しむ。 圧倒的……戦闘が始まって一分足らずしか経っていないが、2匹のレッサーボガールは大ダメージを受けてもだえ、 対してジャスティスは少しもダメージを受けてはいない。サボテンダーのときのように躊躇しなければ、この程度の 相手に苦戦することなどないのだ。 しかし、食欲と闘争本能にのみ思考を支配されるレッサーボガールには、空いた腹を満たすことしか頭にない。 突然、レッサーボガールの頭が膨らんだかと思うと、横に大きく二つに割れて、まるでハエトリグサのような形の、 上下に牙の生えた醜悪なカスタネットに変わったのだ。 「ヌ?」 いかにも、「この口でお前を食ってやるぞ」というふうな変形に、ジャスティスもぴくりとだけだが反応した。 しかし見た目が変わったからといって、それをそのまま真に受けはしない。第一あんなに頭部を肥大化させたら、 重心が上がりすぎて動きにくくなるだけだろう。例えば頭の上に2、3冊辞書でも乗せて走り回ってみるといい、 頭がふらふらして大変になるはずだ。 だがそれでもこの形態になったわけは当然あった。 大きく開かれた口から、真っ赤な舌が伸びてきてジャスティスの胴に絡みつく。 さらに、倒れてもがいていたもう一匹も、同じように頭部を変形させて、舌をジャスティスの右腕に絡ませてきた。 「ウッ、ヌッ」 獲物を捕らえたと見るや、2匹は舌を引き戻し、ジャスティスを引き込み始めた。このまま手繰り寄せて、 後は大きく開いた口で噛み砕く。ジャスティスもふんばっているが、じりじりと地面をこすって引き込まれていく。 そして、あと一息で食らいつけるほどに近寄らせたところで、2匹はよだれを垂らしながら大きく口を貝の ように開いた。 だが、やはり知能の低い彼らは学習しきれていなかった。この相手と力比べをして、自分達が勝てるか どうかということを。 「ハァァッ!!」 あと一足の間合いでジャスティスが全身に気合を入れ、2本の舌を掴んで力を込めると、舌は乾いた 輪ゴムのように簡単に引きちぎれ、そのままジャスティスは、まだ健在だったほうの一体が慌てる暇も 与えずに、奴の上下の顎を掴んで一気に押し開いた!! 「ヌアァッ!!」 その瞬間、間接が砕ける鈍い音とともに、レッサーボガールは顎をはずされて、まるで壊れたトラバサミの ようなみじめな姿になって、前を見ることすらもできずに、もう一体の上に倒れこんだ。 完全に格が違う。レッサーボガールは本来そんなに弱い怪獣ではなく、かつてはメビウスを苦戦させた こともあるくらいの実力もあるのだが、それでもジャスティスがこれまでに相手にしてきた敵と比べたら、 例えばサンドロスの、その手下のスコーピスと比べても明らかに劣る。スコーピスを雑魚同然に始末できる ジャスティスにとってはなんら恐れる必要などなかった。 「ハァァ……」 バックステップで間合いを取り、絡まってもだえている2匹のレッサーボガールに向けて、ジャスティスは とどめを刺すために、頭上にエネルギーを集中させ、それを両拳を突き出すことによって一気に押し出した!! 『ビクトリューム光線!!』 避けることなど到底無理、せめて立てれば別次元へと逃げることもできただろうが、それも間に合わなかった だろう。2匹は仲良く組み合ったまま、超エネルギーの奔流に飲み込まれて、一瞬の後に爆発四散した。 ジャスティスの、勝利だ。 「ハッ!!」 敵の気配が消えたことを確認したジャスティスは、ジュリの姿へと戻った。 2匹が吹き飛んだ場所からは、黒煙がたなびいているが、少ししたら消えるだろう。あとに残ったのは、 住民を失ってゴーストタウンと化した小さな村だけだった。 「ここも、か……」 ジュリは、いずれ森に飲み込まれて消えていくであろう、誰の記憶にも残らない小さな村の残骸を見て、 憮然としてつぶやいた。 実は、ジュリがこのような村に合うのは初めてではない。このアルビオンという名の大陸を旅するうちに、 同じように怪獣に襲われた村や町をいくつも見てきた。 ある鉱山では、風石の坑道に入っていった者達が次々に石になって見つかり、採掘を強行させようとする貴族と、 やめるべきとする鉱山師との間にいさかいが起きていたが、それは地底に潜んでいた岩石怪獣の仕業で、 餌を求めて地上まで出てきたところを倒した。 ある地方都市では、突如地中から生えてきた巨大な花が毒花粉を撒き散らし、根で人間の血を吸っていた ところを焼き払ってやった。 ある村では、村のど真ん中に突然空から怪獣が降ってきて、そのまま居座っていたが、悪意がなく眠っている ばかりだったので、宇宙へ送り返してやろうとしたら、どうにもこいつが赤い色が好きみたいでじゃれつかれてしまい、 しかもこいつの鳴き声には強烈な催眠作用があったみたいで、危うく眠りかけて大変だったが、どうにか 宇宙に運ぶことができた。もっとも、宇宙で寝こけているうちにまた降ってこないとは限らないが。 また、北の果ての砦に立ち寄ったときは、現地の伝説で雪男と言われているらしい白い怪獣が山から 下りてきて、格闘戦を挑まれてきて相手をしている最中に、空から羽根の生えた腕が鞭と鎌になっている 怪獣が飛んできて襲ってきたが、縄張りを荒らされて怒った白い怪獣と乱闘になり、白い怪獣はそいつを倒すと 充分暴れられて満足したのか、大人しく山に帰っていったのでそのまま見送った。 だが、どうにもこんなちっぽけな大陸にしては怪獣の出現率が高すぎる。人々に話を聞いてみたが、これまで 怪獣などが現れたことはないというところがほとんどだった。それなのに、宇宙怪獣、復活怪獣合わせてこの 数ヶ月ほどの間にそこかしこに現れ始めるようになっていた。まるで、何かに呼び寄せられるかのように次々と、 しかも妙なことに、怪獣が現れるのは辺境の地方都市や小村がほとんどで、国の中心であるロンディニウムを 始めとする大都市圏にはまったくといっていいほどない。それゆえに、国民の大多数はまだアルビオンが安全な 場所だと思い込んでおり、怪獣災害に悩まされる他国からの人民の流入も途絶えることはなかった。 「やはり、何者かの意図か……」 ジュリにとって、人間達の社会がどうなろうと、それが宇宙正義に触れない限り興味などないが、客観的に 見てみて、このアルビオンという国には何かがあると思わなくてはいられなかった。 いったん、ウェストウッドに戻ってみるか……あの村を旅立って、一ヶ月程度は経っただろうから、いくらか他の地方や 他国の情報も集まったかもしれない。たまに寄るとティファニアとした約束もあることだし…… そう決めたジュリは、その足を南へ向けた。 しかし、数歩歩いたとき、ジュリは背中に刺すような冷たい視線が感じて立ち止まって振り返った。 それは殺気、ちょっとでも油断すれば、そのまま躊躇なく命を奪っていく餓狼のような、そんな気配。 "こいつ、いつの間に……" ジュリは無言のまま、たった今殺気をふんだんに込めた視線を送ってきた相手を見据えた。 本当にさっきまで何の気配も感じなかったが、今ほんの10メートルばかり離れた場所に、黒服の上に白衣を 羽織った女が、両手をだらりと下げてこちらを見ていたのだ。 警戒心を込めたジュリの視線がその女を睨み返す。 だが、そいつの目はまるで深い空洞、虚ろな暗黒を秘めた黒曜石のように、こちらを馬鹿にしているような、 ないしは底知れない憎悪と欲望をその闇の中に隠しているような、常人には到底不可能な、マイナスの気が凝縮した 邪悪をこめた瞳。そして、長い時間を宇宙の秩序を守るために戦い続けてきたジュリは、それと同じ目に見覚えがあった。 "似ている……サンドロスと" かつて葬った、宇宙の全てを自らの好む不毛の大地に変え、全ての生命をその欲望のために滅ぼそうとした悪魔と、 その女の目は似すぎるくらい似ていたのだ。 「貴様、何者だ?」 「クク……」 ジュリの問いに女は答えなかった。 その代わりに、そいつはさっきのジュリとほぼ同じくらいの、人間離れした瞬発力でジュリに掴みかかってきた。 「ちっ」 会話をする気がないのはわかった。やる気なら、こちらも相応の対応をする。 向かってくる女の手をかわして、その手を逆にねじり上げようとするが、女は腕を掴んできたジュリの手を強引に ふりほどくと、掌底をジュリの顔に向けて打ち込んできた。 「ぬ、なに!?」 とっさにガードしたジュリだったが、その女の力は想像以上に強く、押されるままにジュリの体は後方に吹き飛ばされた。 空中で体勢を整えなおして追撃を受けないように向かえるが、その女の戦闘力はジュリでも油断できるものではないことは、 これで明らかになった。 女は見た目は黒髪の東洋風の顔つき、このアルビオンでは見かけないものだったが、それは置いておいても、普通の 20代そこそこの女性と変わらない体格と細腕なのに、瞬発力と腕力だけ見てもさっきの怪獣より数段勝っている。 「貴様も、この星の生物ではないようだな」 その一言に、女の眉がぴくりと動いた。 「どうやら、言葉を聞き分ける知能はあるようだな。この星の人間に擬態しているようだが、何をしにこの星に来た?」 答え次第では、この場で存在を消去するという意思を込めて、ジュリはその女に擬態した生物に問いかけた。 「グ……オマエ、ショクジノ、ジャマスル……キエロ」 「貴様がな」 片言で話す女の言葉が終わった瞬間、ジュリと女は同時に攻撃を放った!! 互いに相手の顔面を狙ったハイキック、同じ攻撃同士により、空中で両者の蹴りがぶつかり合い、一瞬鏡に映した ような左右対称の姿を現出させ、その刹那の後、力に劣るほう、女の体が空中できりもみしながら舞い、廃屋と化した 一軒の家に激突し、基礎が弱っていたその家を瞬時に倒壊へといざなった。 「やったか……」 ほこりと粉雪と、それにこびりついていた何者のともしれない血潮が風に乗って飛んでいく。 ジュリは油断なく家の残骸に歩み寄り、その中に敵の姿を探したが、粉塵が収まった後、あの女の刺すような 殺気の気配はどこにも感じられなくなっていた。 「逃げたか……」 今の攻撃ごときで死ぬ相手とは思えない。追いかけようにも完全に気配を消している。今日のところは引き分けと いったところか。だが、奴の目的とこちらの目的が対立する以上、いずれはどこかでまた会うことになるだろう。そのときは、 もう逃がしはしない。 今度こそ、踵を返したジュリは南へと歩み出し始めた。目的地はサウスゴータ地方、ウェストウッド村。 一方、ジュリとの戦いで手傷を負わされた女の姿は、アルビオンの首都ロンディニウムの王城、ハヴィランド宮殿の 一室にあった。 「ウ……ヌヌ」 「これはまた、手ひどくやられたものだな」 傷を負った女を、冷ややかな目で司祭風の衣装を来た30代半ばの男が机に面杖をつきながら眺めていた。 ここは、王城の中枢の一角にある、公務に使う机と来客用の椅子しかない質素なオフィス程度の広さの一室。 レコン・キスタによる反乱が起こる前は王の執務室として使われていた部屋だ。 そこに、左腕を折られて全身にも多数の切り傷や擦り傷を受けたあの女が、憎憎しげにその男を見返していた。 「ウルサイ……アイツ、ワタシノテシタヲコロシタ、ワタシノエサバヲアラシタ……カナラズコロス」 「ふん、仮にも一国の元首様に向かってたいそうな口の聞きようだな。この男は、レコン・キスタ総司令官、オリヴァー・ クロムウェルなのだぞ」 そう、その男こそ、このアルビオン大陸を二分している反乱勢力のリーダーであった。だが、何故自分のことを 『この男』などと他人のように言うのであろうか。 「キサマノコトナドシルカ、ソレヨリ、ツギノエサバハドコダ?」 「慌てるな。あまり呼び込みすぎて、この大陸から人間どもがいなくなられても困るのだ。まあ確かに我らがせっかく 打ち込んだ楔で呼び寄せた怪獣達が、次々に倒されることになったのは計算外だった。まさか、こちらの世界にも あんな奴がいたとはな」 そのクロムウェルと名乗った男は、机の引き出しの中に隠した水晶玉の中に、サボテンダーを始めとする怪獣達を 次々と倒していくジャスティスの姿を見て苦々しげにつぶやいた。 「アイツモイズレクッテヤル、アイツ、キライ」 「慌てるな、今の貴様ではウルトラマンには勝てない。貴様は我等のおかげで怪獣墓場から蘇った。しかし、ただ蘇った だけで、生前に貴様が食って蓄えたエネルギーは全てゼロに戻り、怪獣を呼ぶ能力も失われたことを忘れるなよ」 「ケェッ!」 女の顔に怒りの色が浮かび、悠然と机に座っているクロムウェルの喉下に手が伸び、その首筋を押さえた。 「ふふふ、私を殺せば、貴様は利用価値のない欠陥品として即処分されるぞ。またあの退屈なウルトラゾーンに 戻りたいか?」 なんとクロムウェルは、普通の人間ならば首がねじりきられるほどの握力をかけられながらも平然と笑っているではないか。 女は、その言葉に歯軋りしたが、しぶしぶながら理解したのか手を離した。 「ふ、いい子だ。わかっているだろうが、我々が打ち込んだ楔で、この国には今でも多数の怪獣が向かっている。 しかし、なにぶん目立つものだからいずれ機能を解明されて破壊されるだろう。そのときのためにも、貴様の能力は 我々としてもほしいのだ」 クロムウェルが見る宮殿の窓の外には、ロンディニウムの郊外に突き刺さる巨大な石柱があった。その形は、 以前地球に出現して、怪獣や宇宙人を呼び寄せる時空波を発生させていた石柱とよく似ている。いや、まったく 同じものといっていいだろう。 だが、女はその石柱を一瞥するとつまらなさそうに言った。 「フン、タシカニベンリナモノダガ、コンドハイチドウチコンダラ、ニドトウゴカセナイデクノボウデハナイカ」 「ああ、あれを作るには手間がかかりすぎるのでな。だから貴様を蘇らせたのだ。貴様は腹を満たしたい、 我々は貴様の能力が欲しい、利害が一致している今は手を貸してやる。だから精精多く食ってさっさと力を 取り戻せ、そうでないと利用価値もない」 「オボエテイロ、イズレキサマモクッテヤル」 「ふん、できるならな。その前に貴様も超獣に改造されて、我等の忠実な手駒にされるだろうがな」 互いに相手への敵意を隠そうともしていない。そこに信頼や協調などは一切無く、ただお互いを利用し合うのみの関係。 だが、いずれどちらが先に裏切ることになろうとも、今はまだそのときではない。クロムウェルはテーブルの上に、 このアルビオン大陸の地図を広げると、その西端の一角を指し棒で突いた。 「大陸西方、この山岳地帯に地底怪獣の存在を示す地震が観測されている。また、宇宙からもここに向けて怪獣が 接近中だ。あのウルトラマンのいる方向とは逆だから邪魔は入らん。さっさと……」 そこまで言ってクロムウェルが顔を上げたときには、女の姿は部屋の中から影も形も無く消えうせていた。 「ふん、気の早い奴め」 吐き捨てるように言うと、クロムウェルは地図を片付け、執務机に座って、無感情にレコン・キスタ総司令官としての 事務仕事の書類を片付け始めた。 そんな様子が誰にも見られずに1時間ほど過ぎた後、ドアをノックする音にクロムウェルは顔を上げた。 「閣下、秘書のシェフィールド女史が戻られました。閣下へ至急お会いしたいとのことです」 「うむ、通せ」 威厳のある声で衛士にそう命じたクロムウェルは机を立って、ドアのそばまで向かった。 数分後、衛士に通されて部屋の中に黒いローブで身を覆った、まるで喪服が歩いているような女が入ってきた。 「よくいらっしゃいました、ミス・シェフィールド! お待ちしておりましたぞ」 クロムウェルは、自分の秘書という肩書きの女に、まるで大口の客をすり手をしながら接待する商人のような、 腰の低い作り笑いを浮かべた態度で迎えた。 「あいさつはいいわ。それよりも、最近のあなたの手際の悪さには我等の主も不快を感じているわ。わかっているのでしょう?」 シェフィールドのほうも、自分の雇い主であるはずの相手になんら敬意を払わない、むしろ自分が主であるような 尊大な態度で接していた。 「ははあ、このアルビオンを王家から奪い取り、その後トリステイン、ゲルマニアを占領して、エルフ共の手から 聖地を奪回するという、私に与えられた大儀を片時たりとも忘れたことはありません。ですが、戦場とはうつろいやすい ものです。後一歩というところで、王党派に反撃を許し、勝ちの勢いに乗じてサウスゴータまで逆侵攻を許してしまい ましたのは、私の無能としか言いようがありません。お許しくださいませ」 床に頭をこすりつけ、まるで尻尾を振る犬のように許しを請うその姿に、レコン・キスタ総司令官としての姿は どこにもなかった。この男は、レコン・キスタ総司令としてと、この女の忠実な犬としての二つの顔を使い分けている。 「ふん、お前の無能のせいでこちらはとんだ迷惑よ。王軍をニューカッスル城にまで封じ込めたまではよかったけど、 あとはひたすら負け続けじゃない。おかげで、我が主の計画は大変な遅延をなしているわ」 「申し訳ありません。ですが、遠からずおこなわれるであろうサウスゴータでの決戦に勝利できれば、あとは天秤が 傾くかのごとく、我らが一気に王党派を飲み込めましょう」 現在、両勢力の規模はほぼ拮抗している。ここでこのパワーバランスが崩れれば、兵力のかなりを占める傭兵などの 日和見主義で戦う連中は、一挙に有利なほうになだれ込むことだろう。クロムウェルは、ここぞとばかりに力説して チャンスを与えてくれるようにと懇願して見せた。 「そう、そのために私がわざわざあなたの補佐に派遣されたのよ。本当なら、私も暇じゃないんだけど、長年手間暇を かけた仕事が始まりもしないままに終わるのは嫌ですからね。もし負ければ、お前は王党派の手によって、確実に 首をはねられるでしょうからね」 「ありがとうございます、ありがとうございます。して、いかような方法で?」 満面に笑みを貼り付けたクロムウェルが、買ってもらったおもちゃを手渡される直前の子供のように言った。 「見なさい」 シェフィールドが左手にはめた指輪をこれ見よがしに掲げて見せると、クロムウェルはほおと息をつき、ぽつりとつぶやいた。 「アンドバリの指輪……」 その名前は、かつて水の精霊から盗み出されたという水の力を蓄えているという先住の秘宝。その効力は人の 心を操り、死者を蘇らすこともできるという。シェフィールドはこれを使って、いったい何を企んでいるというのだろうか。 「そう、あなたはただ私の命令に従っていればいいの。王でいたいのならね」 「ははあ。全てあなた様のご意思のままに」 ひたすら頭を下げ、奴隷のように這い蹲るクロムウェルの姿にシェフィールドは満足げにうなづき、これからやらせる べき命令を淡々と彼に伝えていった。 しかし、命令を真剣に聞くような態度をしながら、クロムウェルはシェフィールドの命令にも、アンドバリの指輪の 効力にも、なんの興味も抱いていなかった。 "ふふ……もうしばらくは、お前のマリオネットを演じてやる。今のうちに、人形使いの甘い夢を見ているがいい……" その卑屈な態度の裏には、血の通わない冷酷な打算と、人ならぬ作られた者の邪悪な意思がうごめいている。 窓ガラスに映ったクロムウェルの影が、大きく裂けた口と瞳の無い青い目を持つ異形の姿に一瞬変わった。 果たして、最後まで利用させ続けられるのは誰になるのだろうか…… そしてそのころ、アルビオン大陸の西方の山岳地帯では…… 深い霧に包まれた岩だらけの山肌の上を、山登りの装備をした数人の人間達が必死で駆けていた。 「たっ、助けてくれえーっ!!」 高山植物に属する高額な薬草を採取するために、現地の住民さえ恐れて立ち入らない山中に勇敢にも踏み込んだ 彼らは、今苦労して手に入れた薬草のかごすら投げ捨てて、悲鳴をあげて山道を走っていた。 誰も後ろを振り返ろうとはせず、彼らの背後の霧の中から、引き裂くような遠吠えが響いてくる。 さらに、それに続いて大きな足音が近づいてき、やがて霧の中からハサミのような腕を持った肉食恐竜型の 怪獣が現れた。 「きっ、来たあーっ!!」 人間の走る速さ程度ではその怪獣、【岩石怪獣 サドラ】からは逃れられない。 こいつは奥深い山中に生息し、自分の体から発する密度の濃い霧を隠れみのにして、獲物を誘い込んで喰らう 獰猛な肉食怪獣で、過去に地球でもMATの時代に霧吹山に現れ、その後大量に出現してメビウス、GUYS、ヒカリに 倒されているが、とにかく凶暴なたちの悪い怪獣だ。 人間達はなんとか霧の中に逃げこもうとするが、サドラは相手が見えなくても、その耳の端についている 電流感知器官で、人間達の放つ微妙な電流を感知して正確に補足し、先端がハサミ状で蛇腹のような形の腕を 伸ばして最後尾のひとりを捕らえ、そのまま口に放り込んで噛み砕いて食べてしまった。 「ひっ、ひゃぁあっー!!」 もはや声にもならない絶叫を響かせ、残った人間達は涙と鼻水を垂れ流させながら逃げていく。だが、サドラは ピーナッツをつまむかのように簡単に人間を捕らえて食べてしまう。 あっというまにたった二人に減らされてしまった一行は、それでも生への執着を捨てきれずに、全力以上の力を 出して走る。しかし、まだ満腹にはほど遠いサドラはなおも腕を向けてくる。 そのときだった。山の岩肌がぐらりと揺れ、彼らの目の前の地面が突然盛り上がり始めたのだ。サドラは、 それが危険なものであることを本能的に察知し、食事を続けるのを一旦中止して、ハサミを振り上げて身構えた。 「なっ、なんだあれは!?」 「ひっ、ま、また別の怪獣だあ!!」 地中から姿を現したのは、サドラより大きな体格で、鋭い牙を無数に生やした恐竜型の怪獣、【肉食地底怪獣 ダイゲルン】だった。 こちらは地底をその強靭な腕で掘り進み、ときたま地上に出ては動物を襲う怪獣で、腹をすかしたその裂けた 口からはよだれがだらだらと零れ落ちている。こいつも、餌となる動物を求めてここに現れたのだが、目の前の 怪獣が食事のために邪魔な相手だということを察知し、まずはこいつを排除しようと威嚇の叫び声をあげた。 こうなると、負けじとサドラも咆哮し、たちまち2大怪獣は組み合い、ダイゲルンが殴りつけ、サドラが挟み込んで 両者とも噛み付き攻撃をおこなった後、一旦離れたダイゲルンが口から火炎を吐きかけると、素早い動きで かわしたサドラが周りにあった岩を持ち上げて投げつける。 2大怪獣の激突により山道は崩れ、二人の男はガタガタ震えながら、勝ったほうが自分達を食いに来る であろうバトルを見守っていた。 と、そのとき霧を裂いて、空の上からかん高い声がして、サドラとダイゲルンが見上げたところに、霧の中から 頭に紅い三本角を生やし、全身がうろこのようなもので覆われたスマートな怪獣が下りてきた。 「さ、三匹目……」 【宇宙怪獣 ゴルゴザウルス】、かつてウルトラマンタロウに倒されたゴルゴザウルス2世の同族で、テレポート能力 などを持つ。ちなみに、ゴルゴザウルス1世というのもいたらしいが、ウルトラ戦士も戦ったことはなく、その正体は 謎に包まれている。 今回はハルケギニアを狙おうとして、たまたまここに舞い降りてきたのだろうが、いきなり現れたゴルゴザウルスに、 当然サドラとダイゲルンも怒って挑みかかり、凶暴なゴルゴザウルスもこれを迎え撃った。 突進してきた2匹の攻撃を、ゴルゴザウルスはテレポートしてかわし、後ろから不意打ちをかけて転ばせ、 さらに背中にのしかかろうとするが、振り返ったダイゲルンの火炎でひるんで引き下がる。 2匹から3匹になり、怪獣同士の死闘はますます激しさを増していく。 「ひ、ひいい、なんで、なんでこんなことに」 「お、おかあちゃーん!」 恥も外聞もなく、二人の男は岩陰で震えるしかできない。 だが、そのとき彼らの耳を、怪獣のものとは違う足音がすぐそばを掠めていった。 はっとして、周りを見渡すと、彼らから20メイルばかり離れた岩の上に、白衣を着た黒髪の女性がいつの間にか 立って、怪獣の戦いを見つめていた。 「あ、兄貴、た、助けが来たんですか?」 「い、いや……」 年配のほうの男は、なぜかその人影を見ても「助けてくれ」と声をかけることはできなかった。 第一、その存在自体が不自然すぎる。こんなところに女が一人でいることもそうだし、まったく山登りに向かない 服装、それにこの深山まで来ているというのに服に乱れや汚れが一切見られない。 女は、しばらく怪獣達の戦いを見つめていたが、やがて我慢しきれなくなったように、口元を長く伸びる舌で べろりと舐めて、うれしそうに言った。 「オマエタチ、ウマソウダナ」 それから三日後、現地で死の山と恐れられている山に分け入った無謀な一団のうちの二人が、まるで骸骨のように やせ細った状態でふもとの住民に保護された。 彼らは、恐怖に震えながら口を揃えて何度もこう言ったという。 「怪獣が、怪獣を食っちまった……」 続く 前ページ次ページウルトラ5番目の使い魔
https://w.atwiki.jp/seisoku-index/pages/1045.html
418 :1[saga]:2011/05/24(火) 03 25 46.84 ID lgOvXgxq0 1です!!!! すいません!!!! 打ち切ります!!!!!!! というか、方針を変えます。 残り全員ノリと勢いだけで片付けます ノリと勢いを維持するためにいきなり台本形式になります 色々とごめんなさい。これまでの書き方だといつまでたっても終わりそうにないので…… 一応全員解決するところまで書きますが、相当駆け足なのであんまり期待しないで下さい ではおさらいから↓ ■■■■救助リスト■■■■ ===イギリス清教=== 必要悪の教会 禁書目録 【救助立候補:シェリー=クロムウェル】 ステイル=マグヌス 【救助立候補:シェリー=クロムウェル】 ロンドン女子寮 神裂火織 【救助立候補:シェリー=クロムウェル】 オルソラ=アクィナス 【解決済】 天草式十字凄教 建宮斎字 【救助立候補:シェリー=クロムウェル】 浦上 【救助立候補:シェリー=クロムウェル】 五和 【救助立候補:シェリー=クロムウェル】 牛深 【救助立候補:シェリー=クロムウェル】 香焼 【救助立候補:シェリー=クロムウェル】 諫早 【救助立候補:シェリー=クロムウェル】 野母崎 【救助立候補:シェリー=クロムウェル】 対馬 【救助立候補:シェリー=クロムウェル】 他44名 【救助立候補:シェリー=クロムウェル】 アニェーゼ部隊 アニェーゼ=サンクティス 【救助立候補:シェリー=クロムウェル】 シスタールチア 【救助立候補:シェリー=クロムウェル】 シスターアンジェレネ 【救助立候補:シェリー=クロムウェル】 他約200名 【救助立候補:シェリー=クロムウェル】 ===英国王室=== エリザード 【捕縛】 リメエア 【捕縛】 キャーリサ 【捕縛】 ヴィリアン 【捕縛】 ===騎士派=== 騎士団長 【捕縛】 ===結社予備軍=== 新たなる光 レッサー 【消息不明】 ベイロープ 【消息不明】 フロリス 【消息不明】 ランシス 【消息不明】 ===ローマ正教=== ローマ教皇 【誘拐】 神の右席 フィアンマ 【捕縛】 ヴェント 【捕縛】 アックア 【捕縛】 ===ロシア成教=== サーシャ=クロイツェフ 【行方不明】 ===エリザリーナ独立国同盟=== エリザリーナ 【解決済】 ===学園都市=== 統括理事会 アレイスター=クロウリー 【失踪】 とある高校 月詠小萌 【解決済】 結標淡希 【解決済】 姫神秋沙 【行方不明】 吹寄制理 【解決済】 青髪ピアス 【行方不明】 土御門元春 【拉致:謎のキャンピングカー(三回目)】 御坂勢力 御坂美琴 【誘拐:全身タイツ(ロシア成教?)】 妹達(学園都市組) 【解決済】 妹達(10033-16000) 【解決済:一方通行】 妹達(16001-20000) 【委託:一方通行】 白井黒子 【誘拐:全身タイツ】 初春飾利 【誘拐:全身タイツ】 佐天涙子 【誘拐:全身タイツ】 エツァリ 【誘拐:全身タイツ】 ショチトル 【解決済】 黄泉川家 黄泉川愛穂 【解決済】 芳川桔梗 【行方不明】 一方通行 【解決済】 打ち止め 【解決済】 番外個体 【解決済】 新生アイテム 麦野沈利 【解決済】 浜面仕上 【解決済】 滝壺理后 【解決済】 絹旗最愛 【解決済】 旧スクール 垣根帝督 【解決済】 心理定規 【解決済】 忍者 服部半蔵 【解決済】 郭 【解決済】 その他 風斬氷華 【中の人】 スフィンクス 【行方不明】 冥土帰し 【解決済】 研究者(約150人) 【誘拐:ロシア成教】 上条刀夜 【行方不明】 上条詩菜 【行方不明】 御坂旅掛 【行方不明】 御坂美鈴 【行方不明】 <エリザリーナの病院の前> 上条「よし!! 出発するぞ!!」 土御門「その前にカミやん、ちょっといいかにゃー?」 上条「何だ? 土御門(つっこまないぞ)」 土御門「(あれ、つっこんでくれない……)実を言うと、ちょっと時間が押してるんだぜい」 上条「押してるって何の」 土御門「何でもいいからちょっと巻きでお願いしたいんだぜよ」 上条「巻きで……急げってことか?」 土御門「そうそう。だからとっととロシア成教のアジトへ行くぞ!」 上条「? おう! ショチトル、準備はいいか?」 ショチトル「 <学園都市基地跡> 土御門「着いたぜい」 上条「すごく早く着いた気がするけど気のせいだな」 ショチトル「 土御門「それじゃあ早速、ここに捕らわれている学園都市の人々を助け出すんだにゃー」 上条「おじゃましまーす」 ピーンポーン ガーッ 上条「あ、ドアが開いた」 土御門「呼び鈴が付いてるのも、鳴らしたら開けてくれるってのも意外すぎるな」 ショチトル「 『ふっふっふ……それは私が開けてあげたからなのです』 上条「!? 何だ!? 館内放送?」 土御門「一体誰だ!?」 『はい。私、初春飾利っていいます』 土御門「なにぃっ!? ウイハルッ!? その正体は一体ッ!?」 上条「土御門うるさい。リストにいたよな」 土御門「そういえばそうだったにゃー」 上条「……」 土御門「なんにせよ、さっそく一人目ゲットぜよ!!」 上条「モンスターじゃないぞ」 土御門「きっとラフレs 上条「館内放送なんかしてるってことは、無事みたいだな」 初春『はい。御坂さんに助けてもらっちゃいました』 上条「そ、それは良かった……」 上条「それで、どうやってこの放送を? あとドアも」 初春『今、この施設のコンピューターは全部私の管理下にありますから』 上条「何ですと!?」 初春『事情を説明しますから、とりあえず中に入ってください』 初春『無事、私のいる最上階のメインコンピュータールームに辿り着けるなら、ね……』 初春『ふっふっふ……』 上条「そこはかとなくラスボスっぽいな」 ショチトル「 <基地内部> 初春『皆さん正面口を越えましたね? それでは、まず右手のドアをご覧下さい』 土御門「はーい」 上条「見たぞ」 初春『その部屋に御坂さんのご両親がいます』 上条「え……」 上条「……本当か! 早く助けないと!」 初春『ロックは解除してありますから、ご自由にお入りくださいね』 ガーッ 上条「便利な人質だな」 <正面口右手の部屋> 上条「うわ」 土御門「どうしたカミやん? 入り口で立ち止まると迷惑だぜい」 芳川(土下座)「……」 旅掛「……」 美鈴「……」 上条「白衣のお姉さんが美鈴さんとスーツのオッサンの前で土下座してる」 土御門「『うわ』ってカミやんお前」 ショチトル「 上条「おーい、美鈴さん」 美鈴「あ、あれ? 美琴ちゃんのお友達じゃない? 久しぶりー」 芳川「……(土下座)」 旅掛「……」 上条「えーと、あの、これ、どういう状況?」 美鈴「ああ、この、学園都市の研究員の人がね……」 芳川「すみませんでした」 旅掛「許さん」 上条「……」 美鈴「……」 土御門「多分、その研究員は『絶対能力者進化計画』に関わってる」 土御門「娘のクローンが二万人も作られて、しかも半分殺されてるなんて知ったら、両親が怒るのはあたりまえですたい」 土御門「それで、研究者であるその白衣のお姉さんが土下座、と」 土御門「そういう事に違いないぜよ!!」 上条「ありがとう土御門。お前が言うならそうなんだろうな」 ショチトル「 上条「研究者の人はともかく、なんで御坂の両親が攫われるんだ?」 芳川「それが、彼らの計画の初期のなごりらしいわ」 旅掛「許さん」 上条「計画の初期?」 芳川「現在、私達を攫った人たちは超電磁砲のクローンを作ろうとしているようなの」 旅掛「許さん」 上条「ロシア成教がクローン? 信じられないけど……なあ土御門、なんで?」 土御門「俺に聞くのはおかしいぜよ」 芳川「理由はどうあれ、彼らの狙いはクローンの量産だった」 旅掛「許さん」 芳川「今も一万人のクローンが世界中にいるわけだけど、それよりもっと大量に必要なようね」 旅掛「許さん」 美鈴「お父さん、ちょっと静かにしてね」 芳川「計画の初期段階では、クローンをどうやって作るのか、彼等には見当もつかなかった」 芳川「そもそもクローン?何それおいしいの?状態だったようね」 上条「まあ、科学を毛嫌いしてたわけだからな」 芳川「そこで、彼等は考えた」 芳川「クローンて、二万つ子なんじゃないのか? と」 上条「」 芳川「それで彼ら、こう考えたわけね」 芳川「もっと生ませればいいんじゃないのか? と」 上条「」 土御門「」 ショチトル「」 旅掛「許さん」 美鈴「いやー、さすがの美鈴さんも二万人産んだら裂けちゃいますよアハハ」 芳川「学園都市の研究者を手中にして、その考え方は間違いだと気がついた後も、ご両親は解放されなかった」 芳川「それで、新しく攫われて来た私と出会ったということよ」 旅掛「許さん」 芳川「すみませんでした」 旅掛「許さん」 上条「無事なようで何よりだけど、何で無事なの?」 美鈴「んー? 何て言ったかな、海原君? カッコいい彼に助けてもらっちゃった」 ショチトル「海原……というのは、まさか」 土御門「つまり、エツァリが化けてる男だにゃー」 ショチトル「あの、その人は今どこに?」 美鈴「私達をこの部屋に残して、他の人達を助けに走ってるわよ」 上条「何!? くそう、また出番が取られる!」 土御門「よし、追いかけるぜよ!!」 ショチトル「 <廊下> 初春『それじゃあ、次はエレベーターに乗って二階へ行ってください』 上条「はーい」 土御門「すっかりツアー感覚だな」 <二階廊下> 上条「うわ」 土御門「カミやん、エレベーターのドアの前で立ち止まるのはやめてほしいぜよ」 白井「あら? あなたは……例のあの人ではありませんの」 上条「人を名前を言ってはいけない人みたいに言うなよ」 土御門「カミやーん、ウィンガーディアム・レビオーサ!」 上条「うるさい」 白井「こんな所で何をしていますの?」 上条「何って言ってもな……人助け?」 白井「はっ!! まさか、お姉様を助け出してポイントを稼ごうなどとっ……」 白井「卑怯ですわ! なんと浅ましい! 汚らわしいこの類人猿め!!」 白井「どうせ、 『大丈夫か、美琴』 『ありがとう! かっこよかったわ! 大好き!』 『ふっよせよ……』 『ねえ、キスして……』 『バカ、こんな所で……』 『あんたの唇がほしいの、黒子……』 などという流れを狙っていたのでしょうけど、お生憎様ですわ! お姉さまは既に救出されていますのよ!!」 上条「多分、それ企んでたのお前だろ」 白井「!!」 上条「御坂がすでに助かってるとなると、お前はそこで何をしてたんだ?」 白井「佐天さんと協力して、悪党どもをこのドアの向こうに閉じ込めたところですの」 初春『私と白井さんと佐天さんが監禁されてた部屋なんですよー』 上条「佐天さん……? ここにはいない、よな?」キョロキョロ 初春『コンピュータールームで私と一緒にいますよ』 白井「この施設の自動ドアとシャッターは、すべてそこでコントロールできますの」 初春『白井さんが彼らを追い詰めて、佐天さんがシャッターを閉めて追いこんで行ったんです』 上条「なんか、すごい大作戦が展開されてたんだな」 白井「でも佐天さん、ゲーセン感覚で面白がってましたわ」 土御門「とにかく、これで雑魚の魔術師に襲われる心配はないと」 上条「戦争する覚悟で来たのに、とんだイージーモードだぜ」 土御門「何しろ巻きだからにゃー」 上条「黒幕もこの部屋の中にいるのか?」 白井「いえ、わたくし達が相手をしたのは下っ端の連中だけですの」 初春『それから、名前も出て来ない大量の研究者のみなさんも救出しましたよ』 白井「結局、雑魚ばっかり相手にしてましたの」 上条「雑魚て」 初春『大物はとってありますから』 上条「そこらへんは空気を読むんだな」 土御門「大丈夫、カミやんが目立つチャンスは残されてる!」 上条「そんな心配してないもん」 ショチトル「 初春『雑魚が片付いたところで、最上階に進みましょう!』 上条「俺何もしてないんだけど」 土御門「心配するな、いつものことだ」 初春『さて、そこに現れる黒幕の正体とは!?』 土御門「暴かれる真の目的とは!?」 白井「上条はそれを打ち砕くことができるのか!?」 上条「俺たちの戦いは、これからだ!!」 ショチトル「 ■■■■救助リスト■■■■ ===イギリス清教=== 必要悪の教会 禁書目録 【救助立候補:シェリー=クロムウェル】 ステイル=マグヌス 【救助立候補:シェリー=クロムウェル】 ロンドン女子寮 神裂火織 【救助立候補:シェリー=クロムウェル】 オルソラ=アクィナス 【解決済】 天草式十字凄教 建宮斎字 【救助立候補:シェリー=クロムウェル】 浦上 【救助立候補:シェリー=クロムウェル】 五和 【救助立候補:シェリー=クロムウェル】 牛深 【救助立候補:シェリー=クロムウェル】 香焼 【救助立候補:シェリー=クロムウェル】 諫早 【救助立候補:シェリー=クロムウェル】 野母崎 【救助立候補:シェリー=クロムウェル】 対馬 【救助立候補:シェリー=クロムウェル】 他44名 【救助立候補:シェリー=クロムウェル】 アニェーゼ部隊 アニェーゼ=サンクティス 【救助立候補:シェリー=クロムウェル】 シスタールチア 【救助立候補:シェリー=クロムウェル】 シスターアンジェレネ 【救助立候補:シェリー=クロムウェル】 他約200名 【救助立候補:シェリー=クロムウェル】 ===英国王室=== エリザード 【捕縛】 リメエア 【捕縛】 キャーリサ 【捕縛】 ヴィリアン 【捕縛】 ===騎士派=== 騎士団長 【捕縛】 ===結社予備軍=== 新たなる光 レッサー 【消息不明】 ベイロープ 【消息不明】 フロリス 【消息不明】 ランシス 【消息不明】 ===ローマ正教=== ローマ教皇 【誘拐】 神の右席 フィアンマ 【捕縛】 ヴェント 【捕縛】 アックア 【捕縛】 ===ロシア成教=== サーシャ=クロイツェフ 【行方不明】 ===エリザリーナ独立国同盟=== エリザリーナ 【解決済】 ===学園都市=== 統括理事会 アレイスター=クロウリー 【失踪】 とある高校 月詠小萌 【解決済】 結標淡希 【解決済】 姫神秋沙 【行方不明】 吹寄制理 【解決済】 青髪ピアス 【行方不明】 土御門元春 【解決済】 御坂勢力 御坂美琴 【誘拐:全身タイツ(ロシア成教?)】 妹達(学園都市組) 【解決済】 妹達(10033-16000) 【解決済:一方通行】 妹達(16001-20000) 【委託:一方通行】 白井黒子 【解決済】 初春飾利 【解決済】 佐天涙子 【解決済】 エツァリ 【誘拐:全身タイツ】 ショチトル 【解決済】 黄泉川家 黄泉川愛穂 【解決済】 芳川桔梗 【土下座】 一方通行 【解決済】 打ち止め 【解決済】 番外個体 【解決済】 新生アイテム 麦野沈利 【解決済】 浜面仕上 【解決済】 滝壺理后 【解決済】 絹旗最愛 【解決済】 旧スクール 垣根帝督 【解決済】 心理定規 【解決済】 忍者 服部半蔵 【解決済】 郭 【解決済】 その他 風斬氷華 【中の人】 スフィンクス 【行方不明】 冥土帰し 【解決済】 研究者(約150人) 【解決済:白井・佐天】 上条刀夜 【行方不明】 上条詩菜 【行方不明】 御坂旅掛 【解決済】 御坂美鈴 【解決済】
https://w.atwiki.jp/doudan/pages/28.html
東国人+ウォードレスダンサー+甲殻型ウォードレスダンサー+レコン “森の妖精”改め“WD特殊部隊”の創設 ”ふふふ、これでうちの軍は森の妖精だ!” ”その表現はファンタジー過多極まりすぎます、藩王。” 都築藩王とお目付けメードさんの会話 12708002 旧・都築藩国危機対応局、つまり今の軍事局は以前からその部隊を歩兵を主にした高機動WD部隊として組織し、これまで数々の戦闘を闘ってきた。しかし、その戦果は十分なものとは、言えなかった。降下作戦は降下して終わり、絢爛世界への出兵もかのものとの戦いへの出兵も、力及ばずに何もせずに帰ってきたようなものであった。挙げ句には国民は「戦争に活躍しないのは運命だと思って」しまわれているような、そんな状態であった。 難民キャンプの治安維持活動は十分な結果を挙げることができた。しかし、しかしながら、もしも自衛の必要性が出てきたならば。もしもどうしても取り返さないといけない、どうしても戦い、勝たなければいけない場面に直面した時は。 藩王はひとつの決断を下す。 「戦いは嫌いだ。しかし、我が国の正義を護るには戦わねばならぬ時もある。正義を護るにも、力は必要なのだ。」 彼らは、その鉄血の意思を持ってして生まれた。 そして今、満天の星が宿るこの国においても彼ら―――先駆の司らの意思は決して変わってはいない。 “WD特殊部隊”概要 彼らその創設意志に則った、歩兵の強化を目的として作られたアイドレスである。 レコン―――リコナイザンス、reconnaissanceとはつまり偵察の意味を持つ。しかして、このレコンの存在はただの偵察兵に及ばぬこととなる。これまで先行して行われてきたウォードレスダンサーに関しての技術、経験を最大限に生かし、そこに密林を強靭に渡りきる“レコン”を加えることによって、従来不足とされていた兵員の素の能力をカバーしていったのだ。強力な兵を、強力なWDで技術的補てんをしてゆく。技術にだけ頼ることなく、人にだけ頼ることなく、全ての意味において強化してゆく。その方針は未だ実戦配備が行われていない現状においては、成果を上げられたかどうかを言うことはできないが、これが藩国の部隊を協力なものにしてゆく足掛かりとなることは、間違いない。 その運用方針については、主にはWDの機動力の高さと、レコンの部隊スキルを利用した特殊部隊的運用を考えられている。つまりはWDの跳躍力とブースター、レコンのサバイバルスキルを利用した障害物の多い悪地の踏破が可能であること。WD搭載の一般歩兵より遙かに強い火線を張ることができる装備。レコンによるカモフラージュスキルによる隠ぺいなど、強攻偵察、奇襲には十分な力を持つものである。 その訓練にあたっては、藩国の使用されていない層において演習場が敷かれ、日夜問わずして彼ら彼女らの奮闘は続いている。 都築藩国時代:とある演習のストーリ 旧・都築藩国演習場。鬱蒼とした密林が、そこには広がっていた。無論のこと、密林だけではなくキリングハウスのような屋内戦闘訓練施設も十分に用意はされており、歩兵国家の演習場の様相が強く出ている地区である。しかしながら、このお話の部隊は、あくまで密林であった。荒れ放題であった下層地区を、そのままに生かす。美しくも、人が生きるには過酷な原生林がそこにはある。 (クリックで大きくなります) 「こちらNS1―――、渡河開始。腰まで水に漬かりそうだが、暑い中だ。少し水浴びでもしてから行く。」 『RB2よりNS1へ、風邪なんざひかないよう程々にしておけよ。あとヒルに気をつけろ。間接に入られたら面倒だぞ。』 「げえ、やっぱりいるのか。ラジャ、行水くらいにしておく。オーバー。」 その密林に流れる小川の中、カーキや青に塗りたくられ、ゴミか何かのようにしか見えない集団が遡上してゆく姿が見える。 良く見れば、各々がWDを着込んでおり、その表面にカモフラージュパターンがかけられているのがわかるだろう。ただし、そのほとんどはまだ実戦配備前のテストパターンばかり。中には河に入った時点で丸見えのものまでいた。恥ずかしそうに腰どころではなく、肩ほどまで漬かりながら、進軍。 「しかし、良くもこんな場所を用意できたもんだな。」 「うちの国力じゃ全部の階層を維持しきれてないってことだろう。まあ、仕方ないだろうがな。」 「確かにな・・・ただ、そのままにしないっていう藩王の意気もこの計画にあるんだろ?」 「ああ、そういやそうだったな。まあ、俺らは闘うだけだが、な。」 「うわ、インナースーツまで浸水してきやがった。」 「お前のサンプルWD駄目だなあ・・・俺もむれまくってるが。まあいつものことだ。」 首筋のウォードレスコネクタから随時行われる薬物投与によって、神経を人体許容量の最大まで尖らせ、軽口を叩きつつもその表情からは一切の感情が廃された者たち。手に手にWDと同じように塗装された銃器を持っている。すべて演習用のサンプルアームであったが、なかなかにこの狭小の空間ではとり回しの良いものが多かった。 そして、 ザ――ザ―ザ―ザ――― 唐突に無線に割り込んでくる、雑音。 「ノイズ?」 「そろそろチェックポイントっていうことだろう。NS3、今回の醍醐味は何だった?」 「は、WDの技術に頼らない、五感を最大限に利用したミッション演習です。」 「そうだ。ECMくらい用意されていても不思議じゃない、な。」 ハンドサインで河の両側へと展開する部隊。再度のハンドサインで、辺りに銃器を構えつつ警戒を張る。 今回の演習の目的は、そう、五感を最大限に利用したミッション。しかしながら、その補助としてのWDは認められていた。薄暗い密林の中、WDのバイザー機能であるサーモを起動する。一瞬にして世界から色彩が奪われ、濃淡だけの味気ないものへと変わった。 「RB1、聞こえるか。RB1・・・無理そうだな。状況を。」 「河川右岸クリアー。」 「河川左岸ク・・・いや!」 叫び声と同時に、アンチサーモ用の塗料が塗られ、見事に周囲の草叢と同化していた大型の甲殻型ウォードレスが2機、起き上がる。手に持つのは、巨大なガトリングキャノン。演習用とはいえ、当れば相当痛そうではあった。 ≪諸君、お疲れ様。俺に勝てたらゲームクリアだ。≫ いつもなら、スピーカーの向こうから、電波に乗せられて送られてくる声。きっとその中では、毎度のようににたにたとした笑みを浮かべているのだろう―――藩王の、声。 「ちょ、マジかよ!?」 「マジだな。全員散開、今日までの訓練を身をもって報告するぞ! データ f:評価 = 体格4,筋力5,耐久力5,外見-1,敏捷4,器用6,感覚11,知識3,幸運-1 L:ウォードレスダンサー = { t:名称 = ウォードレスダンサー(職業) t:要点 = 表情が欠落した顔,ウォードレスコネクタ(首筋の6個穴) t:周辺環境 = ウォードレス t:評価 = 体格0,筋力1,耐久力0,外見-1,敏捷0,器用1,感覚2,知識0,幸運-1 t:特殊 = { *ウォードレスダンサーの職業カテゴリ = 派生職業アイドレスとして扱う。 *ウォードレスダンサーはウォードレスを扱える。 } t:→次のアイドレス = ウォードレスの開発(イベント),源健司(ACE),甲殻型ウォードレスダンサー(職業) } L:甲殻型ウォードレスダンサー = { t:名称 = 甲殻型ウォードレスダンサー(職業) t:要点 = 甲殻型ウォードレス,インナースーツ t:周辺環境 = 戦場 t:評価 = 体格1,筋力2,耐久力2,外見-1,敏捷0,器用1,感覚2,知識0,幸運-1 t:特殊 = { *甲殻型ウォードレスダンサーの職業カテゴリ = 派生職業アイドレスとして扱う。 *甲殻型ウォードレスダンサーは甲殻型ウォードレスを扱える。 *甲殻型ウォードレスダンサーは歩兵とみなす。 *甲殻型ウォードレスダンサーはI=Dに乗っていないとき、独自で近距離戦闘行為ができ、この時、選択によって近距離戦闘の攻撃判定は評価+2出来る。補正を選択した時は燃料1万tを必ず消費する。 *甲殻型ウォードレスダンサーはI=Dに乗っていないとき、独自で中距離戦闘行為ができ、この時、選択によって中距離戦闘の攻撃判定は評価+2出来る。補正を選択した時は燃料1万tを必ず消費する。 *甲殻型ウォードレスダンサーはI=Dに乗っていないとき、独自で遠距離戦闘行為ができ、この時、選択によって遠距離戦闘の攻撃判定は評価+2出来る。補正を選択した時は燃料1万tを必ず消費する。 } t:→次のアイドレス = 甲殻型ウォードレスの開発(イベント),アタリ・マノ(ACE),ベテランのウォードレス兵(職業),フルボーグ(職業) } L:レコン={ t:名称=レコン(職業) t:要点=腰まで水に,突撃銃,バンダナ t:周辺環境=密林 t:評価 = 体格3,筋力2,耐久力3,外見1,敏捷4,器用3,感覚6,知識3,幸運1 t:特殊 = { *レコンの職業カテゴリ = 派生職業アイドレスとして扱う。 *レコンはI=Dに乗っていないとき、独自で近距離戦闘行為ができ、この時、選択によって近距離戦闘の攻撃判定は評価+2できる。補正を選択した時は燃料1万tを必ず消費する。 *レコンはI=Dに乗っていないとき、独自で中距離戦闘行為ができる。 *レコンはI=Dに乗っていないとき、独自で白兵戦闘行為ができる。 *レコンは偵察時、感覚を評価+3補正することができ、この時燃料1万tを消費する。 *レコンは偵察した対象に再偵察することでAR1を消費させることが出来る。 } t:→次のアイドレス = ゴーストレコン(職業),ロードランナー(職業),晋陽(WD),レンコン(アイテム) } 要点/周辺環境継承:東国人 スタッフ 絵:津軽さん 文:都築つらねさん
https://w.atwiki.jp/wrtb/pages/11897.html
吉野由志子(吉野佳子) 出演作品 TV映画:実写 ハロウィーンタウン(アギー・クロムウェル【デビー・レイノルズ】)ハロウィーンタウン2 カラバーの復讐(アギー・クロムウェル【デビー・レイノルズ】) ハロウィーンタウン3 カーニバルは大騒動(アギー・クロムウェル【デビー・レイノルズ】) ハロウィーンタウン4 ウィッチ大学へようこそ(アギー・クロムウェル【デビー・レイノルズ】)
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/535.html
前へ / トップへ / 次へ アルビオンの首都、ロンディニウム。 その郊外にロサイムという町がある。王立空軍の工廠として有名な町である。巨大な煙突立ち並ぶ製鉄所、広大な木材置き場、 兵器工廠……ハルケギニア最強を唄われるアルビオン空軍の要である、ということはすなわちアルビオンの生命線であるというこ とでもある。 そこにひときわ目立つ大きな建物がある。空軍の発令所だ。かつて王立空軍の頭脳であったこの建物も、戦争終結によりレコン・ キスタに占有されてしまい、今は三色旗が翻っている。さらにひときわ異彩を放つのが、テントに覆われた巨大戦艦だ。レコン・キスタ は鹵獲した戦艦「レキシントン」を改装中なのである。 現在、ロサイムの町は完全封鎖体制、戒厳令の真っ只中にあった。 通りを歩くのは巡回する警備兵のみである。 その警備兵を見ていると妙なことに気づく。表情に生気がないというか、顔が妙に青白いのである。しかも、このハルケギニアでは ありえないことに、機関銃らしきものを首からぶら下げているではないか。 警備兵の動きをさらによく見ていると、ある建物を中心にして警戒していることがわかるだろう。それは見た目何の変哲もない建物 である。もともと空軍の戦艦の整備を担当していた、この街ではごくありふれた工房の一つに過ぎない。 中に入っても、兵士がただならぬ様子で詰めていることを除けば、ただの工房にしか見えないだろう。だが、その工房の地下が問題 であった。工房の地下室にエレベーターが隠されている。そのエレベーターは地下50mにあって、水爆の直撃にも耐え切れるだけの 防御力をほこる秘密基地へと繋がっていた。 すなわち、この工房はヨミの秘密基地への入り口の一つであった。 現在その秘密基地はフル稼働中である。何かの胴体を思わせるものが次々と運ばれてくる。装甲にスクウェア級のメイジが数人 がかりで固定化の魔法をかけている。見たこともない複雑な回路が運ばれてきては、竜の頭部を思わせるもの、人間の頭を模した ようなものにつけられている。 「なんとも大きく、頼もしいものですな。これが完成した暁には、さすがの3つのしもべも敵ではないでしょう。」 アルビオンの新たなる指導者の地位に着いた、オリヴァー・クロムウェル皇帝は、供の者を引きつれその工事を遠方からはるばる やって来た1人の男に誇らしげに解説していた。 黒い、緩やかな衣に身を纏った男。顔の真ん中にX印の傷痕が残っている。黒く長いあごひげを蓄え、眼光は稲光のようである。 ヨミだ。 「とうとうV2計画も大詰めだ。このぶんだと、あとひとつきもあれば、計画は完了するだろう。」 満足げに工房を見学するヨミ。その顔には自信と余裕がみなぎっている。 「V2計画の進捗状況については、満足できるものであった。あとはトリステイン攻略についてだが…」 「それは、このあとの会議にて報告させていただきます。」 まるで中国人のように礼をとるクロムウェルに「うむ。」と返すヨミ。アルビオンでは、普通このように拳と掌を合わせるような礼をとる ことはない。いったい、なぜ。 「それではV2作戦の状況、およびA計画についての報告、血笑烏作戦についての会議を行う」 ヨミがおごそかに宣告し、着席する。クロムウェルが威厳に満ちたようすで続く。他の人間も次々に着席する。 クロムウェルの背後にはフーケと、ペド、そして幾人かの姿がある。中にはフードを目深にかぶった人間も。 クロムウェルが、「まずはV2計画の進捗状況について説明いたします。」と起立し、挨拶をする。技術主任、と呼ばれた男が前に 出て、モニターを示しながら説明を始める。 「V2作戦はご存知の通り、ロプロス計画を発展させた計画であります。」 映像が移り変わる。そこにかつてロプロス計画によって生産され、バビル2世と3つのしもべを苦しめたV号が映し出された。 「V号はみなさまご存知の通り、ロプロスと互角の力を持っています。ごらんのようにロプロスの体当たりにびくともせず、ポセイドンの レーザー光線をも受けつけません。」 さらに切り替わり、しもべの攻撃をものともせぬ姿があらわれる。 「さらに頭部から超高熱線を放ち、ポセイドンを尻尾で子ども扱いします。腹部からは爆弾を投下でき、サルダン国はじめ周辺国に 多大な成果を与えました。ですが……」 さらに場面は切りかえって、苦しむ搭乗員の姿が映し出された。 「ロプロスの超音波振動攻撃により、搭乗員はヨミ様を除き全員気絶。最終的には…」 画面には爆発炎上を起こすV号。 「爆弾投下口をレーザーで狙われ、墜落しバベルの塔に激突しました。また、同じようにここからロデムに進入され、内部のコンピュー ターを狂わされてしまい、最終的には自爆を余儀なくされました。」 おっほん、とセキをする技術主任。 「以上から、我々はV号の弱点であった、『搭乗員』『爆弾投下口』を排除し、簡略化。さらに効果の高かった『超高熱線』『体当たり』 を強化すべく研究に励みました。結果、超高熱線は特殊なマジックアイテムの使用により威力が1.7倍に、体当たりは『固定化』に よって2.8倍にまで上昇しました。このデーターを用い、量産型V号、すなわちV2号ドラゴンの開発に取り組みました…。」 映像は黒色をした、まさにドラゴンというべき機体に移り変わった。頭にはユニコーンのような角があり、顔は猛々しい。 「これは艦船護衛型のFタイプですが、都市攻撃型のBタイプは爆撃も可能です。また、V号の攻撃に加え、魔法の使用により火炎 放射を口から行うこともできます。操縦方法は原則頭部の人工頭脳によって自動操縦によりおこないます。」 以上です、と礼をすると全員が一斉に拍手をする。 「見事だ。」と満足げなヨミ。 「それで、現在までの生産状況は?」 「現在13体が完成済みです。ひとつき後までには、あと5台は可能でしょう。」 「親善訪問へは何体が間に合いそうかね?」とクロムウェル。 「15体はまちがいなく出動可能です。」 ヨミがにやりと嗤う。 「ふっふふ。この世界で恐れるものはバビル2世とそのしもべのみ。だが、これで空のしもべ、ロプロスは問題ではなくなった。よし、 ではサンダーはどうなっている。」 はっ、と会釈しさらに画像を変えさせる技術主任。映し出されたのは、ポセイドンだ。 「これはご存知のように海のしもべポセイドンです。アルビオンはごぞんじのように空に浮かぶ国。他国に侵略しようとすれば、地上に 兵が降りて、その上で都市を制圧する必要があります。空の航路はドラゴンが確保するとして、問題は地上に降りた兵です。いくら 強力な兵隊やメイジであっても、ポセイドンにはおそらく歯が立たないでしょう。」 そこで…とポセイドンの横に巨大ロボットを表示させる。 「ポセイドンに対抗しうるものとして、我々は巨大ロボットの開発を行いました。ただ、現在の我々の技術ではポセイドンを超えるロボット の開発は不可能である、と判断しました。そこで、我々は量産により、多人数でポセイドンに対抗することを考えました。」 ポセイドンの横に映し出されたのは、まるで古代ギリシャの兵隊のような姿をしたロボット。 「さらに空を飛べないポセイドンに対抗すべく、V2号サンダーは風石を装備し、ある程度の飛行能力を持ちます。これはアルビオンの 地形上の理由からも必要な装備でした。風石は30分で交換可能となっており、作戦に備えて現在量産中であります。また、風石は V2号ドラゴンにも装備されており、移動をジェット噴射、浮遊を風石が行うことで、搭乗者のいない人工頭脳兵器ならではの、アクロ バティックな動きが可能となっています。攻撃手段は、魔法を利用した全身からの発熱、格闘となっています。」 満足げにヨミが頷いた。 「これでポセイドンも問題外となった。あとはロデムだが、ロデムもサンダーで充分に対抗できるだろう。そのために発熱機能を持た せたようなものだからな。」 「次はA計画についてクロムウェルから発表します。」 立ち上がり、技術主任と入れ替わってモニターの傍に立つクロムウェル。 「おほん。さて、A計画、すなわちアルビオン奪取計画ですが、王党派の駆逐に完全に成功したものの、いくつかの問題が出てい ます。」 「最後の攻防戦で我々に多大な被害が出ているというあれか」 「はい。200ばかりの兵が篭るニューカッスルの城を、念を入れて5万の兵で攻め立てました。しかし、連中は火薬を用いて城を爆破、 そのどさくさにまぎれて脱出し、亡命政権を作りました。公式には我々は王党派が最後まで抵抗したため、こちらにも甚大な被害が 出たとしています。そのため連中を無視していますが、こちらに工作活動を行っているという情報もあり、多少手を焼いています。 が、内部の不穏分子の粛清も進んでおりますので問題はないかと。」 「問題はない?」 ピクリ、とヨミの額が動く。 「問題がなくはないだろう。2万以上の兵がニュー・カッスルでは犠牲になったというではないか。おまけに呂尚も行方不明と聞く。 その上で部下をうしなうような行動はあまり感心できんな。」 クロムウェルの顔が青ざめた。 「で、ですが、ニューカッスル攻略の指揮を執っていた呂尚様はヨミ様から…」 「それはそのとおりだ。ゆえに犠牲に関してはおぬしを責めはしない。だが、犠牲者についてなんの感慨も抱かず、おまけに部下を 殺していることを自慢するような態度は感心できない、ということだ。」 恐縮し縮こまったクロムウェルが応える。 「も、もうしわけありません。今後、改めます…」 だが、クロムウェルの命令は、自分たちの目の上のたんこぶを処分しようとする部下たちに無視される形となってしまう。新政権ゆえ の猟官意識が起こした悲劇であった。 「だが、それ以外は完璧と言ってよいできだ。みごとだ。」 ヨミの賞賛に、あっというまに豹変し喜色を浮かべるクロムウェル。 「ありがとうございます。血笑烏作戦にも全力をあげさせていただきます。」 「ではその血笑烏作戦について聞こうか。」 「はい。では続けて説明させていただきます。まずは皆様、この地図をご覧ください。」 モニターにハルケギニアの地図が映し出された。その上に赤線が引いてある。 「これはアルビオン大陸の移動経路を示しています。ご覧の通り、アルビオンは地上に接点がありません。ほぼ唯一の経路というの は、ラ・ロシェールという港町です。ですが、ここは山中にあり、守るに易く攻めるに難しい町です。重要拠点ということもあり、常に 兵が警戒していますし、万一バビル2世がここを守れば我々の被害は甚大となるでしょう。そこで……」 地図が拡大された。ラ・ロシェールのとなり、タルブと描かれた村が映し出された。 「ここ、タルブに部隊を降下させようと考えています。ここは広大な草原が広がっており、身を隠す場所はなく、攻めるにたやすいと いえるでしょう。また目的地のラ・ロシェールにほど近く、この村を占拠し、地上と空からラ・ロシェールを攻め落とすのが、作戦の おおまかな概要です。」 「本来ならばSBC基地からラ・ロシェールに打って出、空との2面作戦をする予定であったな。」 「はっ。ですが、ご存知のようにSBC基地はバビル2世によって完全に破壊されました。そのための作戦変更です。トリステインは 始祖の祈祷書もあり、ハルケギニア進行においても重要な場所にあります。GR計画のためにも、ぜひとも落とさなくてはいけません。」 「またしてもバビル2世か。どこまでもわしの前に立ちふさがる男よ。」 だが、と力強くヨミは立ち上がった。 「だが、今回はわしがバビル2世の相手をする。そこで決着をつけてやろう。」 そして指をつきたて、部下に指示をする。 「よいか。バビル2世はおそらくまだこの世界の秘密に気づいていないはずだ。新月の2日前から超能力をなるべく使わせろ。その ために被害がでてもかまわぬ!よいな!」 全員が起立し、ヨミの命令に応えた。 オスマンは王宮から届けられた一冊の本を、ルイズに渡しながら 『どう見ても、まがい物じゃなあ』 と思っていた。なにしろ文字さえ書かれていないのだ。噂には聞いていたが、まさか本当に真っ白と思っていなかったのである。 「これは?」 怪訝そうに本を見つめるルイズ。なんとも言いにくいな、と思うオスマン。 「始祖の祈祷書じゃ。」 「始祖の祈祷書?これが?」 王室に伝わる伝説の書物。国宝のはずだ。わざわざ召喚して、そんなものを渡されルイズは戸惑っていた。 そんなルイズに噛んで含めるように王族の結婚式の作法を説明してやるオスマン。 「というわけで、姫は巫女に、ミス・ヴァリエール、そなたを指名したのじゃ。」 「姫様が?」 「その通りじゃ。巫女は式に備えて、この祈祷書を肌身離さず持ち歩き、詠みあげる詔を考えねばならん。」 そのあと名誉なことだぞ、とルイズは説得されていたが、ちっとも聞いてはいなかった。なにしろ幼いころ共に過ごした姫様が、自分を 式の巫女に選んでくれたのだ断る理由などない。 こうして、ルイズはゲルマニア皇帝とアンリエッタ王女との結婚式の巫女役に選ばれ、始祖の祈祷書を手に入れたのであった。 「始祖の祈祷書だって?」 自分の頬をつねるバビル2世。夢ではないかと思った。なにしろ、デルフリンガーを脅して得た情報によると、虚無の魔法を目覚め させるのに始祖の祈祷書とやらが必要だと知っていたからだ。その本が、よりによって虚無の魔法使いかもしれない少女の手に 握られているのだから。 「そうよ。王女様の結婚式で、わたしは巫女役になって詔を読み上げるの。それに必要ってわけよ、この本が。」 えっへんと胸を張るルイズ。よほど光栄に感じているのだろう。 「で、その本を読んでみたのかい?」 高鳴る胸を押さえながら聞くバビル2世。さすがにヨミがいる以上、いますぐ帰るわけには行かないが、いずれ帰らなくてはならない。 その鍵が、目の前にあるのだ。 「読んだかいって……言われてもね。」 本をめくってバビル2世に示すルイズ。 「……真っ白?」 「そうよ。前にも説明したでしょ。王室に伝わる祈祷書は真っ白だって。」 やれやれと肩をすくめるルイズ。たしかに、聴いた記憶がある。 「……で、特殊なメガネや道具はなかったのかな」 「この本しか渡されてないわ。」 あっさりバビル2世の希望を打ち砕くルイズ。ガクッとバビル2世は肩を落とした。 まあ、そんなにあっさり都合よくなにもかもうまく行くわけはないか。そう考えて、気をとりなおすことにした。あとでデルフを脅して、 どうやって読むのか聞けばいい。それで読めなければ、贋作ということだろう。 「で、詔を考えなきゃいけないんだけど……」 「ぼくはわからないよ。」 「でしょうね。異世界の人間だし。」 「残月なんかどうだい?」 仮にも王族、仮にももと愛し合った人間。あるいみロマンティックだ。きっといいものを考えてくれるはずだ。 「却下。」 吐き捨てるように却下された。 「あんな色情狂を頼るなんてお断りよ!」 おっぱいフェチはゲラウトヒア。そう、ルイズの目が語っていた。 「なら孔明はどうだい?仮にもブリミルの使い魔だったらしいじゃないか。」 「それなのよね。ブリミル様がどんな人か聞こうと思って聞いていないし、いい機会と思って探したんだけど……」 首を振って応えるルイズ。 「どこにもいないのかい?」 「そうなのよ。あのヒゲ親父、また街をほっつき歩いてるのかしら…」 ブツブツ文句をたれるルイズ。おそらく情報収集をしているのだろう、と思いバビル2世もとやかく言わなかった。 「……コウメイ様。ウェールズさまがよこしてくれた、平民のあなただからこそ言います。」 ここはトリスタニアの王城。アンリエッタの私室である。アンリエッタは、ここ最近何度も孔明を極秘裏に召喚していた。 「わたしはもう、魔法を使う人間が信用できなくなってきています…」 悲しそうに、アンリエッタは言う。自分が使者として選んだ人間がよりによって裏切り者で、しかも愛するウェールズを殺したと思って いるのだ。かなり、ショックだったのだろう。 「しかし、この国は始祖ブリミルから伝わるメイジの国。わたしの周りの信頼できる人間は、みなメイジ。そんなかたがたにメイジは 信用できない、などと誰がいえましょうか。」 その言葉を黙って聞いている孔明。これまでは、孔明に話す内容は全て雑談か、ルイズたちの様子ぐらいであった。何度目かの招き で、ようやく信頼できると確信したのだろう。アンリエッタは本音を話し出している。 「私は今、平民を貴族に上げようとすら考えています。それならば一気に悩みが解決いたします。しかし、理由もなく貴族の列に加え ては、メイジたちの反発は必至……。なにか、良い方法はないでしょうか……。」 にっこりと嗤い、孔明は頷いた。 「私のような人間に、そこまで打ち明けていただけるとは、恐悦至極。この孔明でよければ、ぜひお力添えにならせていただきます ぞ。」 優雅に一礼する孔明。 「ですが、まずは貴族に上げるに足る人材を見つけることが先決ではないですかな?すでに、心当たりはあおりかな?」 「……いえ、それは……」 ふむ、と首を斜めにしてアンリエッタをジッと見る孔明。やがて、口を開いて 「よろしい。この孔明、全力を挙げて貴族にするに足る人材を在野から見出してきましょう。その上で、アンリエッタ様自身が、自らの 目で、己が信用できるか否か、お試しくだされ。」 「そうして、いただけますか?」 はい、と答える孔明。 「また、貴族に素直にあげるに足る機会の件もなんとかいたしましょう。」 アンリエッタは、素直に頼もしさを感じていた。やはりウェールズ様がよこしてくださったお方だわ。と感激さえしていた。 簡単に騙されやすい王女様であった。 前へ / トップへ / 次へ